【第63回臨床検査技師国家試験】PM19-22の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

平成29年2月22日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp170425-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT63-PM19 機能的残気量を決定する因子はどれか。2つ選べ。

1.気道抵抗
2.吸気筋力
3.呼気筋力
4.胸郭の拡張力
5.肺の弾性収縮力

機能的残気量とは、安静呼気位時(=普通に息を吐いた時)に肺に残っている空気

残気量は最大呼気位時 (=最大限息を吐いた時) に肺に残っている空気です

 

残気量は絶対に吐き切ることができない空気です、肺がペシャンコになってしまわないように必ず空気は残るのです

一方で、機能的残気量というのは、普通に呼吸をしている状態で肺に残る空気量と言えます。つまり、肺が一番安定した形を保つ空気量とも言えます。

上記を踏まえて問題を改めて見てみます

1.気道抵抗
2.吸気筋力
3.呼気筋力
4.胸郭の拡張力
5.肺の弾性収縮力

機能的残気量は、肺がリラックス状態でいられるように肺の中と肺の外の空気圧が釣り合った状態です、すなわち、4.胸郭の拡張力と、5.肺の弾性収縮力が釣り合った状態と言えます

このことから答えは4,5になります

機能的残気量は呼吸筋に左右されないということですね

 

↓肺気量分画についてはこちらの記事でも詳しく解説しています

MT63-PM20 クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線 別冊No. 3を別に示す。クロージングボリュームはどれか。

第63回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

1.①
2.②
3.③
4.④
5.⑤

単一窒素呼出曲線 の見方ですが、横軸が肺気量、縦軸が呼気窒素濃度とあります。これは肺の中の空気(酸素+窒素)を吐き出す時の窒素の流れを表しています

第63回臨床検査技師国家試験 別冊より引用
  • ②は肺活量、肺の空気を自力で吐き出した全量です
  • ③は残気量、自力ではこれ以上吐き出せない肺に残った空気量

⑤の部分を見ると窒素濃度が急激に高くなっています、これは肺の空気を吐き出した終わりかけの空気(酸素濃度が減り、窒素濃度が高くなる)、これが⑤クロージングボリュームです

クロージングボリュームの臨床的意義は、末梢気道障害を反映し増加すること、すなわち通常のスパイロではわからないCOPD、慢性気管支炎で増加します

クロージング=閉塞、閉塞性肺疾患を見つけ出すというわけです

ちなみに、④の(クロージングボリューム+残気量)をクロージングキャパシティと言います

なおクロージングボリュームについては、以下の記事で大変わかりやすく解説してくださっていますのでぜひ参考にしてみてください (クリックすると新たにタブが開きます)

参考:やさしイイ呼吸器教室(長尾大志 先生)

MT63-PM21 動脈血ガス分析の所見を示す。酸塩基平衡異常はどれか。

pH 7.33
PaCO2 60 Torr
HCO3 31 mEq/L

1.呼吸性アシドーシス
2.混合性アシドーシス
3.代謝性アシドーシス
4.呼吸性アルカローシス
5.代謝性アルカローシス

まずは、血ガスについての基準値が基本になります

血液pHの基準値:7.35~7.45は絶対に覚えましょう

これだけで、問題のデータがアシドーシスに傾いているとすぐにわかります

3択に絞れましたので、次に PaCO2 ですが基準値は

PaCO2基準値:35~45 Torr 、これは血液pHの下2ケタと覚えると、覚えやすいです

問題のデータは PaCO2 が高いです、つまり、答えは1.呼吸性アシドーシスだとわかります

ちなみに重炭酸イオンHCO3-の基準値:24±2 Torr (これはあまりいい覚え方がありません)

重炭酸イオンの増加は代謝性のアルカローシスを表します、今回のデータの場合、呼吸性のアシドーシスによって傾いた体内を、代謝でアルカリ側に戻そうとして HCO3 の再吸収が腎臓で亢進していると考えられます。(これを腎性の代償と言います)

↓血ガスの基準値などの覚え方は、以下の記事でも詳しく解説しています

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MT63-PM22 肺線維症患者の肺機能検査結果で認められないのはどれか。

1.1秒率の低下
2.全肺気量の減少
3.機能的残気量の減少
4.肺拡散能DLcoの低下
5.静肺コンプライアンスの低下

肺線維症は肺が固くなる病気、すなわち拘束性肺疾患です(拘束性の代表疾患は、間質性肺炎です)

ざっくり覚えるなら

  • 拘束性は肺活量減少(80%以下)
  • 閉塞性は1秒率の減少(70%以下)

さて、選択肢を見ていくと、1.1秒率の低下、これは閉塞性ですね

ということでいきなりですがこれが正解

一応他も見ていくと

2.全肺気量の減少
3.機能的残気量の減少

肺が固くなり、肺活量が減るわけですから全肺気量、機能的残気量も減りますね

4.肺拡散能DLcoの低下

肺胞から赤血球までにガスを行き渡らせる能力です、肺が固くなるとガスの通りが悪くなります

5.静肺コンプライアンスの低下

肺コンプライアンスは簡単に言うと、「肺の膨らみやすさ=やわらかさ」です。肺が固くなると低下します。

今回は呼吸器系の問題でした。全てを暗記していくのは難しいですから、理論立てて一つずつ、こうだからこうなるはずだ、と考えていくと解きやすくなるのかなと思います。問題に書いてある用語から、ヒントを見つけ出し、問題を解きながら知識を思い出し、掘り出していく、という感覚でいけるとよいのかなと思っています

とはいえ、暗記してしまえるならばそれでもOKです!

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