【第67回臨床検査技師国家試験】PM60, 62, 63, 64, 65の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和3年2月17日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT67-PM60 骨髄異形成症候群について誤っているのはどれか。

1.血球減少を認める。
2.腫瘍性疾患である。
3.無効造血が亢進する。
4.造血細胞の形態異常を認める。
5.骨髄の芽球比率は 30%以上である。

骨髄異形成症候群(MDS)とは

MDSは一言でいうと、造血幹細胞に異常が起きる病気です。造血幹細胞とはあらゆる血球に分化できる(血球の元となる)細胞のことです。そのため、赤血球、白血球、血小板などあらゆる血球の減少や機能異常を引き起こします。

1.血球減少を認める。

2.腫瘍性疾患である。

3.無効造血が亢進する。

無効造血とは血球が作られる過程で異常が起きてしまい血球が壊れてしまうことです

4.造血細胞の形態異常を認める。

造血幹細胞に異常があるため形態異常も起こりやすいです

5.骨髄の芽球比率は 30%以上である。

誤りは5です、芽球とは未熟な血球のことで、たしかにMDSでは未成熟の血球が増えますが、20%を越えた時点で既に急性白血病へ移行していると言えるため、MDSの特徴とはなりません

MT67-PM62 産生にビタミン K を必要としない凝固因子はどれか。

1.プロトロンビン
2.第Ⅴ因子
3.第Ⅶ因子
4.第Ⅸ因子
5.第Ⅹ因子

ビタミンKを必要とする凝固因子と言えば

2,9,7,10(肉、納豆)です(納豆には実際ビタミンKが多いです)

凝固因子の第Ⅱ因子とはプロトロンビンのことです

問題の正解は2になります

ちなみにビタミンKが不足すると、これらの因子の産生が減少し出血傾向を呈します

新生児はビタミンK不足が起こりやすく、欠乏症は新生児メレナという出血性の病気となります

MT67-PM63 末血の好酸球減少がみられるのはどれか。

1.気管支喘息
2.アニサキス症
3.Cushing 症候群
4.Churg-Strauss 症候群
5.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

正解から言うと、3のクッシング症候群です

クッシング症候群はコルチゾールが過剰になる病気です

コルチゾールには血糖増加作用がありますが、免疫抑制作用もあります(いわゆるアレルギーを抑えるステロイド薬の主成分はコルチゾールの仲間です)

そのため、リンパ球・単球・好酸球などに減少が見られるのです

反対に、好酸球増加が見られるのは主に、アレルギー反応、寄生虫感染などです

1,2,4,5はこれに該当します

4は別名を好酸球性多発血管炎性肉芽腫症といいますが、覚える必要はありません

国試では聞いたこともないような症候群はとりあえずスルーしましょう、知らないからと言ってなんとなく選ぶくらいなら、スルーしたほうがマシ、というのもテクニックのひとつです

MT67-PM64 T細胞リンパ腫はどれか。

1.濾胞性リンパ腫
2.Burkitt リンパ腫
3.マントル細胞リンパ腫
4.未分化大細胞リンパ腫
5.リンパ形質細胞性リンパ腫

悪性リンパ腫の分類についての問題です

国立がん研究センターのHP(https://ganjoho.jp/public/cancer/ML/index.html)よりわかりやすい図を引用します

図2 悪性リンパ腫の分類の図
出典「国立がん研究センターがん情報サービス」

こちらを見て分かる通り、悪性リンパ腫はホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられます

そして非ホジキンリンパ腫は、3種に分けられます

国家試験で頻出するのは成熟B細胞性の悪性リンパ腫です

T細胞由来のリンパ腫ではHTLV-1によって発症する成人T細胞白血病が有名です

この問題の答えである4.未分化大細胞リンパ腫とは、表の末梢性T細胞リンパ腫に該当します

未分化大細胞リンパ腫はCD30が陽性になります

 

国家試験で見かけるリンパ腫の多くはB細胞由来である、というのは覚えておくとよいでしょう

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MT67-PM65 網赤血球について正しいのはどれか。

1.成熟赤血球より比重が大きい。
2.デオキシリボ核酸を多く含む。
3.健常人では総赤血球数の約8%を占める。
4.正染性赤芽球から脱核直後の赤血球である。
5.採血後の時間経過に従い、採血管内で増加する。

網赤血球は脱核直後の赤血球で、成熟赤血球の一歩手前の状態です

ということで正解は4です

という漢字の由来は、ニューメチレン青染色で染まったリボソームRNAが凝縮し網状に見えるためです

1.成熟赤血球より比重が大きい小さい→まだ中央の凹みがなく球状なので容積が大きく比重は小さい

2.デオキシリボ核酸を多く含む。DNAではなくRNAが多い

3.健常人では総赤血球数の約81~2%を占める。

4.正染性赤芽球から脱核直後の赤血球である。

5.採血後の時間経過に従い、採血管内で増加する。採血後に増えるようなことはありません

網赤血球が増加する疾患としては、赤血球の産生が亢進しているとき

すなわち、溶血性貧血があります

網赤血球が低下する疾患としては、造血が上手く行かないとき

再生不良性貧血などが挙げられます

今回は血液系が中心でした!

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