医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和3年2月17日(水)に実施された
臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT67-PM11 肝硬変の症候に含まれないのはどれか。
1.脾 腫
2.下肢静脈瘤
3.血小板減少
4.ICG 15 分停滞率上昇
5.コリンエステラーゼ低値
確実に正解したい問題です、肝臓の機能についても復習になるので選択肢を丁寧に見ていきましょう
1.脾 腫
肝硬変では肝臓(門脈)に流れ込む血管の血流が悪くなります(門脈圧亢進)、脾静脈もその一つで、脾静脈の血流が悪くなり脾腫が起こります
2.下肢静脈瘤 ✕
答えは2です。肝硬変で見られるのは、胃・食道静脈瘤です。上記と同様、門脈に流れ込む血管なので血流が悪くなるためです
3.血小板減少
肝臓では造血に重要な因子が作られていて、その一つがトロンボポエチンです。肝硬変ではトロンボポエチンが減るので血小板も減ります
他には、凝固因子である第2,9,7,10因子(ビタミンK依存)も肝臓で作られますから、肝硬変になるとPT, APTTも延長します
4.ICG 15 分停滞率上昇
ICGとは肝臓の解毒能力を測るための検査です、ICGは肝臓で処理され胆汁へ排泄されます
肝硬変による肝機能低下でICGの排泄低下=停滞率が上昇、となります
5.コリンエステラーゼ低値
コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓のタンパク合成能を反映します、そのため肝機能低下によって低下する酵素です
肝硬変ではタンパク合成能が低下し、アルブミンを始めとしたタンパク質は低値を示します
他には肝機能を反映する酵素AST、ALTの上昇なども定番知識です
MT67-PM12 M 蛋白が検出されるのはどれか。2つ選べ。
1.骨髄線維症
2.多発性骨髄腫
3.Hodgkin リンパ腫
4.急性リンパ性白血病
5.原発性マクログロブリン血症
M蛋白を簡単に説明するならば、「癌化した形質細胞が大量に産生する異常なモノクローナル抗体」と言えます。形質細胞とは抗体産生に特化したB細胞のことです。
この癌化した形質細胞を原因とする病気が、多発性骨髄腫や、原発性マクログロブリン血症となります
M蛋白の一つに、ベンスジョーンズ蛋白(BJP)があります
ベンスジョーンズ蛋白は異常なモノクローナル抗体の軽鎖であり、尿中に排泄されます。56℃で凝固し、100℃で再溶解するという特徴があり、上記疾患で出現します
MT67-PM13 Down 症候群で認められるのはどれか。
1.t(8;14)
2.t(9;22)
3.13 トリソミー
4.21 トリソミー
5.X モノソミー
染色体異常のラッキー問題です
1.t(8;14)ーバーキットリンパ腫・急性リンパ性白血病
2.t(9;22)ー慢性リンパ性白血病(フィラデルフィア染色体)
3.13 トリソミーーパトウ症候群(国試レベルでは覚えなくてOK、ダウン症の21番トリソミーに対するひっかけ選択肢だと思われます)
4.21 トリソミーーダウン症候群
5.X モノソミーーターナー症候群
赤は定番知識ですので覚えましょう!
MT67-PM14 乳癌の腫瘍マーカーはどれか。
1.AFP
2.CA15-3
3.DU-PAN-2
4.PSA
5.SCC
こちらも腫瘍マーカーの定番知識です
1.AFPー肝臓癌
2.CA15-3ー乳癌
3.DU-PAN-2ー膵癌
4.PSAー前立腺癌
5.SCCー子宮頸癌、肺癌(扁平上皮癌)
腫瘍マーカーについては過去問で出てくるものをまとめてコツコツ覚えていくしかないです
MT67-PM15 血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。
1.鉛中毒
2.水銀中毒
3.青酸中毒
4.有機リン中毒
5.一酸化炭素中毒
中毒系の問題です
コリンー有機リンで低下 と覚えましょう。有機リン中毒というのは具体的には農薬や殺虫剤の誤飲などで起こり得ます
一応他選択肢についても簡単に解説します(国試レベルでチェックすべき知識整理)
1.鉛中毒では赤血球の塩基性斑点が出現します、血液分野でたまに出る知識です
2.水銀中毒といえば水俣病が有名で、神経毒性によります
3.青酸中毒 青酸はシアン化水素とも言います、Fe3+を封鎖しシトクロム(ミトコンドリア電子伝達系酵素)などを阻害、細胞呼吸を阻害する致死性中毒です
5.一酸化炭素中毒 COは酸素よりも遥かにヘモグロビンへの結合度が高く、高度の酸欠から死に至ります
幅広い範囲の詰め合わせのような問題ですが、過去問をやっていると定番で出てくるものがある程度決まっていることがわかります
ノートなどにまとめつつ、こつこつ覚えていきましょう!
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