【第67回臨床検査技師国家試験】AM84, 86, 87, 88, 89の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和3年2月17日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT67-AM84 ABO 血液型のオモテ検査で部分凝集を呈する原因はどれか。2つ選べ。

1.亜 型
2.連銭形成
3.異型輸血後
4.寒冷凝集素
5.ABO 不適合腎移植後

部分凝集の主な原因は大きく分けて2つあります

  • 亜型
  • 2種類(以上)の血液型の血球が存在する

亜型は抗原の強さにバラツキがあるためです

2種類以上の血液型が存在するパターンというのは具体的には、キメラ、異型輸血、異型造血幹細胞移植などが考えられます

MT67-AM86 Donath-Landsteiner 抗体の特徴として正しいのはどれか。

1.異好抗体
2.温式抗体
3.自然抗体
4.CD35 特異性
5.P 血液型特異性

ドナートランドスタイナー抗体は発作性寒冷血色素尿症(PCH)に見られる冷式の自己抗体です

そして、その実態は赤血球のP抗原に対する抗体です

↓関連記事はこちらからどうぞ

MT67-AM87 遺伝性血管神経性浮腫の原因はどれか。

1.C3 欠損
2.CD59 欠損
3.補体の寒冷活性化
4.C1 インヒビター欠損
5.アデノシンデアミナーゼADA欠損

各選択肢がどんな病気の原因であるかを知っている必要があります

1.C3 欠損

文字通りですが、補体欠損症です

2.CD59 欠損

CD59の欠損は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)です

3.補体の寒冷活性化

コールドアクチベーションとも言います

低温状態で補体が活性化、消費され、その結果低補体価となります

慢性C型肝炎やクリオグロブリン陽性の患者血清でみられます

4.C1 インヒビター欠損

これが正解です

遺伝性血管神経性浮腫は、C1インヒビターの欠損によって血管透過性が亢進し浮腫を起こしやすくする病気です

5.アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損

ADA欠損症は常染色体遺伝の免疫不全症です

 

これらの選択肢は国試レベルでは比較的よく見かける疾患ですから、記憶に留めておきましょう

MT67-AM88 免疫担当細胞で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.B 細胞は抗原提示能を持たない。
2.マスト細胞は Fcγ 受容体を発現している。
3.NK 細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。
4.マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。
5.CD8 陽性キラー T 細胞は MHC クラスⅡ抗原と反応する

各細胞の役割に関する知識問題です

こういった問題に出てくる用語を一つ一つ丁寧に説明できることが重要です

説明できないのであれば、教科書で索引を調べていく作業をしなくてはいけません

ちなみにこの問題は、2つ選べとなっていますが、正解が3つあります

 

1.B 細胞は抗原提示能を持たない。

抗原提示細胞とは感染源の菌やウイルスなどの抗原を提示して、T細胞を活性化させる細胞です、具体的には

  • 樹状細胞
  • 単球・マクロファージ
  • B細胞

を指します


2.マスト細胞は Fcγ 受容体を発現している。

マスト細胞とは別名:肥満細胞ともいい、Ⅰ型アレルギーに関与しています

Ⅰ型アレルギーは肥満細胞にIgEが結合し、ヒスタミンを分泌することがきっかけで起こりますが、肥満細胞の持つIgE受容体をFcε受容体といいます。ちなみにFc受容体のFcとは、抗体のFc部分を指します

各抗体に応じて、各ギリシャ文字が対応しています

  • IgG:Fcγ
  • IgA:Fcα
  • IgM:Fcμ
  • IgE:Fcε

Fcγ受容体は1型アレルギーとは直接関与していませんが、マスト細胞やマクロファージにも発現しています

この選択肢はやや難しいので、他の選択肢を判定した上で消去法で選べればOKです


3.NK 細胞はウイルスに感染した自己細胞を攻撃する。

NK細胞はT細胞などと違い活性化することなしに、常にがん細胞やウイルス感染した自己細胞を攻撃することができます

それゆえにナチュラル(自然)な殺し屋と呼ばれているわけです

4.マクロファージはオプソニン化した細菌を貪食する。

オプソニン化とは、抗原に補体や抗体が結合し、食細胞が貪食しやすくなることです

細菌に抗体や補体がくっつくと、マクロファージが食べやすくなるということです


5.CD8陽性キラーCD4ヘルパーT 細胞は MHCクラスⅡ抗原と反応する。✕

MHCクラスⅡは選択肢1で出てきた抗原提示に関わります

抗原提示細胞は外部からの抗原をMHCクラスⅡと共に提示します、これをヘルパーT細胞が認識してB細胞に抗体産生の指令を出すという流れがあります

ということで、正しくはCD4陽性ヘルパーT細胞はMHCクラスⅡ抗原と反応するになります

免疫の知識は、断片的ではなく一連のストーリーを追う形で覚えると理解しやすいです

 

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MT67-AM89 造血幹細胞移植の提供者に行うべき検査はどれか。2つ選べ。

1.HLA 検査
2.HIV 抗体検査
3.不規則抗体検査
4.単球貪食能試験
5.リンパ球サブセット検査

造血幹細胞移植(骨髄移植)でドナー(提供者)が行うべき検査、ということで

答えは1と2になります

骨髄移植・造血幹細胞移植ではHLA(ヒト白血球抗原)の一致が必要です

HIVに限らず、各種感染症の検査は必要になります、具体的には

HBs 抗原・抗体、HCV 抗体、梅毒、HTLV-1 抗体などです

 

以下は造血幹細胞とは直接の関係はありません

3.不規則抗体検査は輸血で必要な検査です

4.単球貪食能試験は不規則抗体検査に用いられることがあります

5.リンパ球サブセット検査はフローサイトメトリー法にて行う、リンパ球のCD抗原を測定する検査で、ヘルパーTとキラーTの割合などを調べることができます

 

67回の午前はひとまず以上になります

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