【第70回臨床検査技師国家試験】PM37-44の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和6年2月14日(水)に実施された

第70回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT70-PM 37 過剰症を起こすビタミンはどれか2つ選べ。

1. チアミン

2. レチノール

3. リボフラビン

4. アスコルビン酸

5. カルシフェロール

ビタミンの欠乏症の問題は多いですが、過剰症を聞かれることはほとんどありません

ただ、この問題の本質は、過剰症を起こすビタミンは脂溶性である(水溶性でない)ということです。

脂溶性のビタミンは水に溶けないため、体内に蓄積する可能性があるというわけです。

水溶性ビタミンはビタミンBとC群ですからそれ以外を選べば正解にたどり着けるでしょう。

ビタミンは化学名で出ることが多いのでこれも必ず覚えるようにしましょう。

ということで、正解は2. レチノール(V.A)、5. カルシフェロール(V.D)となります。

MT70-PM 38 Child-Pugh スコアに使用されるのはどれか。 2つ選べ。

1. ALT

2. γ-GT

3. アルブミン

4. コリンエステラーゼ

5. プロトロンビン時間

これはChild-Pugh スコアを知らなければどうしようもありません。

Child-Pugh(チャイルド・ピュー)スコアは。肝硬変の重症度を評価する分類です。

項目を並べると

・肝性脳症・腹水の有無

・血清ビリルビン

・血清アルブミン

・プロトロンビン時間

で検査項目としては下の3つになります。正解は3,5になります。

肝硬変によって肝臓の機能が失われてくると、アルブミンが合成できず、ChEの活性低下、肝臓で作る抗凝固因子(2,9,7,10)の低下からプロトロンビン時間の延長も見られるようになります。

MT70-PM 39 血中アンモニア濃度で正しいのはどれか。

1. 成人では性差がある。

2. 溶血検体で低値を示す。

3. 消化管出血により上昇する。

4. 採血後室温で放置すると低下する。

5. 動脈血のアンモニア濃度は静脈血より高い。

アンモニアはタンパク質・アミノ酸の代謝産物であり有毒物質です。そのため、肝臓の尿素回路で無毒な尿素に変えて排泄される、というのが基本になります。

1. 成人では性差があるない。→基本的に大きな性差はないと考えてOKです

2. 溶血検体で低値高値を示す。→赤血球内のアンモニア濃度が高いためです

3. 消化管出血により上昇する。〇正しい消化管出血により、血中由来のタンパク質が代謝されアンモニアが増加します。

4. 採血後室温で放置すると低下増加する。→赤血球の代謝などにより、採血後放置で増加します

5. 動脈血静脈血のアンモニア濃度は静脈血動脈血より高い。→静脈血は細胞の代謝・排泄した成分などが多くなるためです

MT70-PM 40 LDで正しいのはどれか。

1. 2量体である。

2. LD5は赤血球に多く含まれる。

3. 半減期が最も長いのはLD1である。

4. 健常人血清ではLD3の割合が最も高い。

5. LD1はM型のサブユニットで構成される。

LDに関する基礎問題です

1. 2 4量体である。→LDは2つのサブユニットから成る4量体です

2. LD5は赤血球に多く含まれる。→赤血球や心臓に豊富なのはLD1、2です。LD5は肝臓です

3. 半減期が最も長いのはLD1である。1が最も長く、順番に5が最も短くなります

4. 健常人血清ではLD32の割合が最も高い。健常人で最も多いのはLD2 です。

5. LD1はMH型のサブユニットで構成される。→MとHという2つのパーツをサブユニットといいます。LD1はHサブユニット4つで構成されており、2~5に行くにしたがってMサブユニットが一つずつ増え、LD5はMサブユニット4つで構成される、という構造になっています。

MT70-PM 41 酵素活性測定の酵素と基質の組合せで正しいのはどれか。

1. ALP ―― 4 ニトロフェノール

2. ALT ―― L-グルタミン

3. AST ―― ピリドキサルリン酸

4. CK ―― N-アセチルシステイン

5. α-アミラーゼ ―― 4,6 エチリデン-4-ニトロフェニルーマルトヘプタシド

これはしっかりと酵素を理解していないとかなり難しい問題です

基質とは酵素が直接反応を触媒する物質になります

1. ALP ―― リン酸モノエステル

2. ALT ―― アラニン+2-オキソグルタル酸 ↔ ピルビン酸+グルタミン酸

3. AST ―― アスパラギン酸+2-オキソグルタル酸 ↔ オキサロ酢酸+グルタミン酸

4. CK ―― クレアチン↔クレアチンリン酸

5. α-アミラーゼ ―― 4,6 エチリデン-4-ニトロフェニルーマルトヘプタシド

5が消去法で正解になるのですが、覚える必要はありません

1~4の基質および反応は、もし苦手でなければ覚えるとよいかなというところです。

MT70-PM 42 尿細管機能の評価に用いられないのはどれか。

1. シスタチン C

2. α1ミクログロブリン

3. β2 ミクログロブリン

4. 肝臓型脂肪酸結合蛋白 〈L-FABP〉

5. N-アセチルグルコサミニダーゼ 〈NAG〉

正解からいうと、1. シスタチンCになります、シスタチンC はGFR(糸球体ろ過量)の評価になります。

2~5は尿細管障害の指標になるため、余裕があれば覚えておくとよいでしょう。

ちなみにL-FABPは心筋梗塞のマーカーであるH-FABPとは異なるので注意してください。

NAGは尿細管細胞に豊富で、障害が起きると増加します。

MT70-PM 43 eGFR で正しいのはどれか。

1. 採尿が必要である。

2. 算出に年齢を用いる。

3. 基準範囲に性差がある。

4. 尿細管機能を評価する。

5. 検査前に絶食が必要である。

eGFRは推算糸球体ろ過量であり、血液検査のみで、糸球体のろ過量を推測できる計算式です。(正確なGFR測定には尿と血液を両方測る必要があり、測定が煩雑になるため)

1. 採尿が必要である。×→採尿が必要ないため採血のみで測定可能です

2. 算出に年齢を用いる。〇→正しい。計算式に年齢が必要です・

3. 基準範囲に性差がある。×→性差はないと考えてOKです。

4. 尿細管機能を評価する。×→尿細管ではなく、糸球体機能です。

5. 検査前に絶食が必要である。×→食事の影響は受けないので必要ありません

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MT70-PM 44 糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。

1. HbA1c 7.1%

2. 随時血糖値 210mg/dL

3. グリコアルブミン 21.5%

4. 75g 経口ブドウ糖負荷試験1時間血糖値220mg/dL

5. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値180mg/dL

糖尿病の検査には、空腹時血糖値・随時血糖値・75g経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値・HbA1cがあり、いずれかの血糖値が基準値を超えると、糖尿病「型」となります。

糖尿病の確定診断には、血糖値で糖尿病「型」かつHbA1cが6.5%を超えた場合となります。

基準値は以下の通りです

空腹時血糖126 mg/dL

随時血糖 200 mg/dL

75gOGTT 200 mg/dL

HbA1c 6.5%以上

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