【第66回臨床検査技師国家試験】PM79, 80, 81, 82, 83の問題をわかりやすく解説

MT国家試験

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国試かけこみ寺です!

令和2年2月19日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT66-PM79 ABO 不適合輸血において低下するのはどれか。

1.AST
2.LD
3.カリウム
4.ハプトグロビン
5.遊離ヘモグロビン

 

ABO不適合輸血で起こることは溶血です

 

すなわち、この問題は

溶血で低下するのはどれか と同義ですね

 

選択肢を見ていきましょう

 

1.AST
2.LD
3.カリウム

これらは、細胞内に多い成分であり

溶血や細胞の破壊によって増加します


5.遊離ヘモグロビン

遊離とは血液中でフリーで存在しているという意味です

溶血すれば当然ながら赤血球中のヘモグロビンが出てきますので

増加しますね

 

4.ハプトグロビン

ハプトグロビンとは、遊離ヘモグロビンと結合し、

ヘモグロビンを代謝するための、肝臓へ運ぶタンパク質です

(ちなみにヘモグロビンが代謝されてビリルビンができますね)

 

先程書いたように溶血で大量の遊離ヘモグロビンができますので

ハプトグロビンと結合し、肝臓で代謝されるため

ハプトグロビン自体は消費されて減少します

(ちなみに同様の役割を持つタンパク質にヘモペキシンもあります)

 

MT66-PM80 輸血関連急性肺障害について正しいのはどれか

1.心陰影拡大を認める。
2.全身に蕁麻疹を認める。
3.大量輸血が原因である。
4.男性ドナー由来血漿製剤で発生率が高い。
5.輸血開始から輸血終了後、6時間以内に発症する。

 

輸血関連急性肺障害とは

輸血副作用の一つで

輸血後数時間で起こる非心原性の肺水腫による呼吸困難

とされます

これを踏まえて選択肢を見ていきます

 

1.心陰影拡大を認める。

心陰影の拡大とは、肥満や心疾患などで心エコーにおける

心臓の陰影が拡がっている状態を指します

輸血関連急性肺障害は非心原性ですから、心臓に直接の原因はありません

 


2.全身に蕁麻疹を認める。

蕁麻疹はⅠ型アレルギーです

今回の輸血関連急性肺障害はアレルギーとは言いません

 


3.大量輸血が原因である。

輸血関連急性肺障害の原因は明らかではありませんが、

製剤中のHLA抗体と言われています

輸血の量自体は直接の関係性は薄いと考えられます

 


4.男性ドナー由来血漿製剤で発生率が高い。

これは間違いで、むしろ男性由来血漿を優先的に使用することで

発生率が低下すると言われています

 


5.輸血開始から輸血終了後、6時間以内に発症する。

輸血直後から数時間で発生するため、

患者状態のモニタリングが非常に重要です

 

MT66-PM81 赤血球製剤の輸血で急性溶血反応を起こさない組合せはどれか。

1.患者 A 型 供血者 B 型
2.患者 B 型 供血者 A 型
3.患者 B 型 供血者 AB 型
4.患者 O 型 供血者 A 型
5.患者 AB 型 供血者 A 型

 

これはABO血液型の超基本的な問題ですね

O型は赤血球抗原がなくて、抗A抗体、抗B抗体を持つ

AB型は赤血球にA抗原、B抗原を持ち、抗体は持たない

などと考えていってもいいのですが

 

理論上、

・O型の血液は誰にでも輸血できる

・O型の人はO型しか輸血できない

・AB型の血液はAB型の人にしか輸血できない

・AB型の人は誰からでも輸血できる

 

これを覚えておくと非常にシンプルに問題が解けると思います

 

選択肢を見てみると、

1.患者 A 型 ー 供血者 B 型
2.患者 B 型 ー 供血者 A 型
3.患者 B 型 ー 供血者 AB 型
4.患者 O 型 ー 供血者 A 型
5.患者 AB 型 ー 供血者 A 型

・O型の血液(O型供血者)は誰にでも輸血できる

供血者にOの選択肢がない

・AB型の人(AB型の患者)は誰からでも輸血できる

この考え方で、選択肢に当てはまるのは5番だけです

 

(実際には理論上は輸血可能である、というだけです

血液型を調べる余裕もない緊急事態の場合には、

O型、Rh+ を輸血するとされています)

 

MT66-PM82 補体成分 C3b の作用について正しいのはどれか。

1.好中球を遊走させる。
2.好中球の貪食を促進する。
3.白血球からリソソームを放出させる。
4.アナフィラトキシンとしての活性がある。
5.リンパ球に結合し抗体産生を亢進させる

 

補体C3bの役割はオプソニン化です

 

オプソニン化とは、好中球の貪食作用を促進することです

(IgG、抗体にも同様の作用があります)

 

このことから、答えは2,になります。

 

補体については解説をすると長くなりますので

別の記事で解説をしようと考えています!

(記事作成中につき申し訳ありません) 

 

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MT66-PM83 血液型の亜型について正しいのはどれか。

1.RhD 陰性は亜型である。
2.後天性 B は亜型である。
3.日本人では B 亜型が最も多い。
4.cis AB 型は突然変異で生じる。
5.亜型の出現頻度は2%程度である。

 

亜型とは、抗原量が通常より少ない血液型を言います

例えば、Aの亜型 Amであれば、

A型の赤血球なのですが、抗原量が非常に少なく

抗A抗体での凝集がほとんど見られず

オモテ検査で正しく判定できない、ということが起こったりします

 

1.RhD 陰性は亜型である。

Rh-(陰性) はそもそも亜型とは言いません

RhにはC, c, D, E,e の5種類の抗原があり、

Rh-(陰性) とはD抗原を持たない、ということを意味します

 


2.後天性 B は亜型である。✕

後天性Bは亜型ではありませんが、

簡単に説明すると

元々A型の患者細菌感染によって

B型に類似した抗原を獲得し、AB型と判定されてしまう現象です

 

これが起こる原因は、細菌の酵素によって

A型抗原であるN-アセチルガラクトサミンが分解を受け

B型抗原のガラクトース(のようなもの)に変化するためです

 

 


3.日本人では B 亜型が最も多い。

日本人ではBm型が最も多く0.2%ほどの頻度で見られるようです

ただしこの情報はかなりマイナーですから、

この問題は他が明らかに間違いであることを判定する問題と言えます

 

 


4.cis AB 型は突然変異で生じる。

cis AB型とは一つの遺伝子座にABがある状態

つまり、遺伝子型で書くと AB/O となります

 

cis ABの発生はアミノ酸置換によって生じます

 

(筆者個人の意見として…

アミノ酸の置換を突然変異と呼べると思うのですが、

ここでは3が正しい情報のため、3が答えとなっているようです)

 


5.亜型の出現頻度は2%程度である。

亜型の出現頻度は多くても0.2%程度です

もし2%もいたら正しい血液型判定をするのが

非常に難しい世の中になってしまいますね

 

 

今回は輸血関連の問題がメインでした!

また次回の解説でよろしくお願いいたします!

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