【第67回臨床検査技師国家試験】PM81~89の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和3年2月17日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp210416-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT67-PM81 新生児溶血性疾患を引き起こすのはどれか。2つ選べ。

1.抗 E
2.抗 M
3.抗 N
4.抗 Leb
5.抗 JMH

正解は1,2です

この問題の意図は、血液型不適合妊娠において、溶血の原因となり得る不規則抗体はどれかということです

国家試験の定番レベルでは以下を覚えておくと良いでしょう

血液型不適合妊娠で問題となる不規則抗体:抗D、抗E、抗M、抗P

当然ながら最も重要なケースはRh血液型で、抗D抗体によるものです

Rh(-)のお母さんが、2回めの妊娠でRh(+)の子ができる場合などです

この場合、対策として妊娠28週前後分娩後に抗D人免疫グロブリン製剤を注射することで抗D抗体の産生を高い確率で予防できます

MT67-PM82 健常人の末血リンパ球で最も数が多いのはどれか。

1.CD3 陽性細胞
2.CD4 陽性細胞
3.CD8 陽性細胞
4.CD19 陽性細胞
5.CD56 陽性細胞

リンパ球のCD抗原の知識を問う問題です、CD抗原は数字に法則性が無く非常に覚えづらいのですが、今回の選択肢に出ているものは定番知識ですので覚えなくてはなりません

1.CD3 は末梢血中ほぼ全てのT細胞で発現しています

2.CD4 はT細胞のうち、ヘルパーT細胞に発現します

3.CD8 はT細胞のうち、キラーT細胞に発現します

4.CD19 は末梢血のB細胞に発現します

5.CD56 はNK細胞に発現します(殺(56)し屋と覚えるとよいです)

リンパ球で最も数が多いのはT細胞なので、1が正解となります

MT67-PM83 T 細胞のみを刺激するマイトジェンはどれか。2つ選べ。

1.コンカナバリン A(Con A)
2.リポポリサッカリド(LPS)
3.フィトヘムアグルチニン(PHA)
4.ポークウィードマイトジェン(PWM)
5.スタフィロコッカス・アウレウスコーワン(SAC)

マイトジェンによる刺激試験、またはリンパ球幼若化試験で用いられるマイトジェンについての問題です、以下の決まりがありますのでチェックしておきましょう

T細胞のみ→フィトヘムアグルチニン、コンカナバリンA
B細胞のみ→スタフィロコッカス・アウレウス・コーワン、リポポリサッカライド

T細胞とB細胞→ポークウィードマイトジェン

B細胞刺激は菌体由来の物質、と覚えるとよいです

SACは黄色ブドウ球菌由来成分、LPSはグラム陰性菌の細胞壁に含まれる内毒素です

PHAとConAはどちらもマメ科の植物由来でレクチンの一種です、レクチンとは糖鎖に結合するタンパク質の総称です

ヘムアグルチニンとは(ヘム=赤血球、アグルチニン=凝集)、赤血球凝集素のことです

PWMはポークウィードというゴボウから発見されたマイトジェンです

MT67-PM84 ツベルクリン反応に関与しないのはどれか。

1.補 体
2.T 細胞
3.マクロファージ
4.プロスタグランジン
5.インターフェロンγ(IFN-γ)

ツベルクリン反応は結核菌の感染もしくはBCG接種(ウシ結核菌)の有無を調べることができます

この反応の機序はⅣ型アレルギーです、Ⅳ型アレルギーは遅延型アレルギーともいい、過去に抗原に感作されたT細胞(メモリーT)が抗原に反応し、炎症性サイトカインを分泌することにあります

T細胞に抗原提示を行うのはB細胞やマクロファージです、これによってT細胞が活性化されIFN-γや炎症性サイトカインが分泌され、炎症性メディエーターであるプロスタグランジンなども誘導されます

プロスタグランジンとは
プロスタグランジンとはアラキドン酸から作られる物質の総称で、役割は炎症の調節です。血管拡張作用のあるプロスタサイクリン。血管収縮作用のあるトロンボキサンA2などがあります。アラキドン酸に作用する酵素がCOX(シクロオキシゲナーゼ)です。

上記の反応が皮膚の発赤として現れるのがツベルクリン反応です

説明が長くなってしまいましたが、問題の答えは1の補体です

補体は菌の感染など最初のステップで活躍する自然免疫です

MT67-PM85 抗体同定検査の抗原表(別冊No. 13A)及びカラム凝集法の間接抗グロブリン試験の結果(別冊No. 13B)を別に示す。可能性の高い抗体はどれか。

1.抗 c
2.抗 C
3.抗 E
4.抗 Fyb
5.抗 Jkb

第67回臨床検査技師国家試験 別冊より引用
第67回臨床検査技師国家試験 別冊より引用

カラム法は上に溜まると凝集(4+)下に溜まると陰性(ー)です

これさえ判定できればあとは、表の凝集している赤血球に○をつけていきます

1,3,6で全て+となっているのは、cとEだとわかります

しかし、c は5の赤血球でも+となっていますが、5は凝集していません

すなわち、凝集の原因となっている抗体は3.抗E の可能性が最も高いと言えます

MT67-PM86 輸血後の反応について正しいのはどれか。

1.赤血球液の 50 ℃の加温では溶血所見がみられない。
2.急性の溶血性輸血反応は輸血開始後7〜10 日で発症する。
3.急性の非溶血性輸血反応は主に発熱やアレルギー症状である。
4.遅発性の溶血性輸血反応の原因は主に ABO 不適合輸血である。
5.急性の溶血性輸血反応の原因は主に Rh 血液型に対する抗体である。

輸血に関する溶血についての文章です、一つずつ見ていきましょう

1.赤血球液の 50 ℃の加温では溶血所見がみられない。

冷静に考えると、50℃になれば溶血するに決まっています。体温低下や血圧低下が懸念される時は体温程度に温めて輸血する場合があります

2.急性の溶血性輸血反応は輸血開始後7〜10 日で発症する。

急性と書いていますから、24時間以内の反応を言います

3.急性の非溶血性輸血反応は主に発熱やアレルギー症状である。

正しい文章です。非溶血の急性輸血反応はアレルギー、発熱で合っています。

4.遅発性の溶血性輸血反応の原因は主に ABO 不適合輸血である。

不規則抗体によるものが最も多いです。輸血された赤血球に対する不規則抗体が増加してから副作用がおきるため時間がかかるので遅発性です。

5.急性の溶血性輸血反応の原因は主に Rh 血液型に対する抗体である。

急性ですぐ起こる溶血というのはABOの異型輸血です。

 

1,2,4,5が明らかにおかしな文章であるとわかるので、消去法でも3を選ぶことができます

MT67-PM87 標識抗原抗体反応の組合せで正しいのはどれか。

1.蛍光抗体法 ールテニウム
2.酵素免疫測定法 ーアルカリホスファターゼ
3.化学発光免疫測定法 ールシフェラーゼ
4.生物発光免疫測定法 ーフルオレセインイソチオシアネート(FITC)
5.電気化学発光免疫測定法 ー金コロイド

正しく直すと

1.蛍光抗体法 ーフルオレセインイソチオシアネート(FITC)
2.酵素免疫測定法(EIA) ーアルカリホスファターゼ ○正解
3.化学発光免疫測定法(CLIA) ーアクリジニウムエステル
4.生物発光免疫測定法(BCLIA) ールシフェラーゼ
5.電気化学発光免疫測定法(ECLIA) ールテニウム

各免疫測定の略語も覚えておいたほうが良いです

  • IA:イムノアッセイ=免疫測定法
  • E:エンザイム=酵素
  • C:Chem=化学
  • B:Bio=生物
  • L:Luminescence=発光

選択肢に登場しているのは全て定番ですので覚えなくてはなりません

・蛍光はfluorescenceといいますので、蛍光=F を目印にしましょう

酵素免疫測定法では他に(西洋ワサビ)ペルオキシダーゼも使われます(特にELISA)

どうしても覚えられない人は、「FITC→F:フルオレ→蛍光」「EIA→Eは酵素→~アーゼ」これだけは覚えておきましょう

金コロイドはイムノクロマトグラフィで用いられています

MT67-PM88 検査結果と解釈の組合せで正しいのはどれか。

1.IgG 型 HA 抗体陽性ー A型肝炎の発症
2.HBe 抗体陽性ー B型肝炎の垂直感染性上昇
3.HBs 抗体陽性ー B型肝炎の感染初期
4.IgM 型 HBc 抗体陽性ー B型肝炎の発症
5.HCV 抗体陽性 ーC型肝炎の治癒

肝炎と抗体の意義についての問題です

正しく直すと、

1.IgG 型 HA 抗体陽性ー A型肝炎の治癒
2.HBe 抗体陽性ー B型肝炎の感染後期~治癒
3.HBs 抗体陽性ー B型肝炎の治癒もしくはワクチン接種済
4.IgM 型 HBc 抗体陽性ー B型肝炎の発症 ○正解
5.HCV 抗体陽性 ーC型肝炎ウイルスの感染

ポイントをまとめると

・全体を通して、基本的にIgMの出現は感染初期を表す

HCV抗体は中和抗体ではないので、治癒を意味しない

・HBは

  • HBs抗原(+)ー現在、感染している
  • HBe抗原(+)ー現在、感染かつ活発に増殖中である

HBs抗体(+)は

  • 感染したことがある(現在は治癒)
  • ワクチンで抗体を獲得し予防状態である

・IgM型のHBc 抗体感染初期の診断に有効

↓こちらの記事で詳しく解説しています

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MT67-PM89 CRP について誤っているのはどれか。

1.肝臓で産生される。
2.オプソニン作用がある。
3.急性相反応物質である。
4.肺炎球菌に対する抗体である。
5.インターロイキン 6(IL-6)により誘導される。

CRPは急性相反応蛋白のひとつで、体内で感染や炎症が起きると即座に上昇します

感染や炎症によって、マクロファージやT細胞が炎症性サイトカイン(特にIL-6)を分泌すると、肝臓でのCRP産生が亢進します

CRPの役割は補体の古典経路活性化オプソニン化による貪食促進です

誤りは4です、肺炎球菌のC多糖体と結合するためこの名前がつけられていますが、抗体ではありません(そして肺炎球菌以外にもちゃんと結合します)

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