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国試かけこみ寺です!
平成31年2月20日(水)に実施された
第65回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説していきます!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp190415-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT65-AM3: 採取後室温で長時間放置された尿で上昇するのはどれか。
1.pH
2.ケトン体
3.ブドウ糖
4.ビリルビン
5.ウロビリノゲン
尿検体を室温で放置で上昇するのはどれか
まずはしっかり問題を読み込んでいきましょう
その上で選択肢を一つずつ判断しましょう!
1.pH ↑
尿を放置すると起こることで
影響が大きいのは、コンタミ細菌による
アンモニアの発生です
つまり、pHはアルカリ性に傾きます
ということでpHは上昇!1が正解です。
2.ケトン体
ケトンは揮発しやすいため、減少
3.ブドウ糖
ブドウ糖はコンタミした菌に消費され減少
4.ビリルビン
ビリルビンは光で分解や、酸化されやすいため、減少
5.ウロビリノゲン
ウロビリノゲンは酸化されると、
尿の黄色色素であるウロビリンに変化するので減少
尿検体についての超基本的な問題といえますね!
MT65-AM4: 尿路系の出血部位を推定できる尿検査はどれか。
1.潜血反応
2.ジアゾ反応
3.塩化第二鉄反応
4.ミオグロビン測定
5.変形赤血球の観察
まず血尿が出る場合には3種類があることを覚えましょう
・腎前性ー血中での溶血など
・腎性ー腎糸球体か尿細管からの出血
・腎後性ー尿道や膀胱からの出血
簡単にはこのようにわけることができます
尿路系の出血部位と書いてありますので
腎臓もしくは尿道や膀胱の出血を特定できるものを探します
1.潜血反応
一般的な尿試験紙による潜血は、ヘモグロビンかミオグロビンに対して反応します
潜血反応だけでは、血中の溶血の影響なのか、腎臓での出血なのか
明確に判定することはできません
2.ジアゾ反応
ジアゾ反応はビリルビンなどの検出に用いる反応で
出血との直接の関係性はありません
3.塩化第二鉄反応
フェニルケトン尿症の検出に用いられた反応ですが
覚える必要はないでしょう
4.ミオグロビン測定
ミオグロビンは筋肉の破壊によって増加します
そのため腎前性の原因といえます
5.変形赤血球の観察
変形赤血球の出現は、腎糸球体の障害を示唆します
これはざるや網の目のようになっている糸球体を
赤血球が無理やり通り抜けた時に変形したものです
逆に、変形のない赤血球が尿沈渣に見られれば
それは腎後性の出血であるとわかります
以上のことから、出血部位の特定ができるのは5になります
MT65-AM11: ADH 不適合分泌症候群SIADHについて誤っているのはどれか。
1.脱水がみられる。
2.尿浸透圧が高い。
3.意識障害を生じる。
4.低ナトリウム血症がみられる。
5.病因として肺小細胞癌がある。
こちらの問題は以下の記事で詳細な解説をしています!
MT65-AM12: 腎不全で起こる電解質異常はどれか。
1.高カルシウム血症
2.高ナトリウム血症
3.高リン血症
4.低カリウム血症
5.低マグネシウム血症
まずは腎臓の働きによって
電解質の動きがどうなっているかを整理します
Na ー(特に遠位)尿細管で再吸収
K ー基本、Naと逆の動き、Kは排泄される
Ca ー尿細管で再吸収される
P ー基本、Caと逆の動き、Pは排泄
Mgー多ければ排泄、少なければ再吸収されるような状態
腎不全の場合はこれと逆が起きると考えます
Na ー再吸収されず出ていく、低Na
K ーNaと逆の動き、Kは排泄されず、高K
Ca ー再吸収されず出ていく、低Ca
P ーCaと逆の動き、Pは排泄されず、高P
Mgー腎不全では調節が効かなくなり、高Mgとなる
以上のことから選択肢を見ると
1.高カルシウム血症
2.高ナトリウム血症
3.高リン血症
4.低カリウム血症
5.低マグネシウム血症
3が正解となります!
腎機能による電解質の動きをまとめると
普段は再吸収:Na、Ca 腎不全だと再吸収されず低値
普段は排泄:K、P 腎不全だと排泄されず高値
Na-K、Ca-Pはシーソーのように動きます
一方が増えると、一方が減る動きになることが多いので覚えておきましょう!
※脱水のように体の中の水分が減った状態では、
煮詰まったような状態になり、両方とも上がる点には注意
MT65-AM13: 血球貪食症候群で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
1.血小板数
2.白血球数
3.血清フェリチン
4.血漿フィブリノゲン
5.血清トリグリセライド
血球貪食症候群とは
マクロファージの暴走とも言える疾患で
マクロファージが異常活性化し
自己の血球細胞を貪食してしまいます
そのため、赤血球、白血球(好中球)、血小板などが激減します
また、
・フェリチン産生の異常亢進(炎症で増加)
・フィブリノゲン低下(炎症で消費される)
・トリグリセリドの高値(理由ははっきりしない)
などの影響があります
以上のことから各選択肢を見ると
1.血小板数
2.白血球数
3.血清フェリチン
4.血漿フィブリノゲン
5.血清トリグリセライド
3,5が増加
1,2,4は低下するといえます
引き続き、第65回の(一部問題の)国試解説も行っていきますので
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