【第66回臨床検査技師国家試験】PM13, 14, 15の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和2年2月19日(水)に実施された

臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説していきます!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp200414-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT66-PM13:Basedow 病について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.徐脈を認める。
3.TSH が低値である。
4.びまん性甲状腺腫を認める。
5.総コレステロールが高値である。

 

Basedow 病=バセドウ病は

出題頻度の高い、絶対に覚えるべき自己免疫疾患です!

 

自己免疫疾患をまとめる際に重要なのは、

病態はもちろんのこと、どのような自己抗体が出現するかです

 

バセドウ病では抗TSHレセプター抗体が高頻度で出現します

 

TSHとは甲状腺刺激ホルモンのことで、下垂体前葉から分泌されます

 

TSHは甲状腺のホルモン分泌のスイッチの役割を持っていて

甲状腺にあるTSHレセプターに結合すると、甲状腺ホルモンが分泌されます

 

ところがこのTSHレセプター抗体があると、

常にスイッチが入りっぱなしの状態になるわけですね

 

甲状腺ホルモンの基本イメージは代謝の亢進です

具体的には

  • 心拍数の増加→動悸
  • 代謝亢進→血糖値は上がり、脂質も消費される

こういった病態のイメージです

 

それでは実際に選択肢を見ていきましょう

1.男性女性に多い。

自己免疫疾患は一般的に女性に多い

基本知識なので覚えましょう 


2.徐脈頻脈を認める。✕

バセドウ病は代謝の亢進

心拍数は増加するので、脈は早くなります


3.TSH が低値である。

バセドウ病では甲状腺ホルモンが過剰になってしまいます

そうなると、体はネガティブフィードバック機構を発動し

甲状腺刺激ホルモンをもう出さなくてもよい、という指令を出します

そのため、TSHは低値となります

(ただし、甲状腺ホルモンはそれでも出続けています)

 


4.びまん性甲状腺腫を認める。

びまん性とは広範囲に拡がる、という意味です

甲状腺の病気ではこういった甲状腺の炎症が起きやすいです

 


5.総コレステロールが高値である。

代謝が上がりますから、コレステロールは消費されると考えられます

 

バセドウ病に関する基礎知識は下記の記事でもしっかり解説しています!

 

 

MT66-PM14:IgA 腎症について正しいのはどれか。2つ選べ。

1.男性に多い。
2.血圧が低下する。
3.血尿が認められる。
4.補体 C3 が遠位尿細管に沈着する。
5.急速進行性の経過をとることが多い。

 

IgA腎症とは腎糸球体にIgA補体C3が沈着する病気です

基本的に、慢性の腎疾患を引き起こします

具体的には蛋白尿や血尿、高血圧などです

 

これらを踏まえて選択肢を見ていきましょう

 

1.男性に多い。

IgA腎症は男性に多いと言われています

 


2.血圧が低下増加する。

基本的に腎機能が低下すると

血液の不純物が増えますから、血圧は上がります


3.血尿が認められる。

血尿も腎機能障害ではよく見られます

血尿は、腎前性・腎性・腎後性の3パターンがあります

IgA腎症の場合は、糸球体の出血由来の腎性と考えられます

 


4.補体 C3 が遠位尿細管糸球体に沈着する。

始めに述べたように、IgAと補体が

糸球体へ沈着します

 


5.急速進行性慢性の経過をとることが多い。

IgA腎症は、慢性の病態です

 

 

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MT66-PM15:Holter 心電図が診断に有用でないのはどれか。

1.異型狭心症
2.Brugada 症候群
3.発作性心房細動
4.発作性上室頻拍
5.大動脈弁閉鎖不全

 

ホルター心電図は、24時間の心電図をモニタリングできます

 

この中で明らかに心電図だけでは診断できないものは

5の大動脈閉鎖不全になります

 

他の選択肢を見ていきます

 

1.異型狭心症は特に目立った動脈硬化もなく

冠動脈の血管攣縮が起こり胸痛を伴います

こういった冠動脈を原因とする疾患では心電図に変化があります

安静時に出現したり、人によってタイミングが変わるため

ホルターによる24時間のモニタリングが有効です

 

2.Brugada 症候群

ブルガダ症候群と読みます

発作的に心室細動が起こり、突然死を引き起こす疾患です

いつ起こるかわからないためホルターは有効

 

3.発作性心房細動
4.発作性上室頻拍

これらも発作性という名前の通り

いつ起こるかわからないため24時間のモニタリングが有効です

 

これらの疾患を見てみると、

・いつ起こるかわからない=発作的

というのがキーワードになっているのがわかります

 

5の大動脈閉鎖不全は発作的に起こっているわけではなく

かつ

心電図だけでは判別が難しいので

心エコーや、心音の検査が有効と言えます

 

 

今回の問題は選択肢に出てくる

病態を知ることが重要です

 

病態を知ることは、医療系の勉強の醍醐味です

興味を持って学んでいきましょう!

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