医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和8年2月18日(水)に実施された
第72回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-07.html)
で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
- MT72-AM29 2ポイント法で第1試薬反応後の吸光度は0.005、第2試薬反応後の吸光度は0.200であった。検体盲検補正後の吸光度はどれか。ただし、検体量は10μL、第1試薬量は230μL、第2試薬量は60μLとする。
- MT72-AM30 ビリルビンで誤っているのはどれか。
- MT72-AM31 日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で試薬に脱水素酵素が含まれるのはどれか。
- MT72-AM32 血清総蛋白の検査で誤っているのはどれか。
- MT72-AM33 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。2つ選べ。
- MT72-AM34 酵素法でクレアチニンを測定する際に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- MT72-AM35 レチノール結合蛋白〈RBP〉と結合するビタミンはどれか。
- MT72-AM36 敗血症マーカーはどれか。
MT72-AM29 2ポイント法で第1試薬反応後の吸光度は0.005、第2試薬反応後の吸光度は0.200であった。検体盲検補正後の吸光度はどれか。ただし、検体量は10μL、第1試薬量は230μL、第2試薬量は60μLとする。
1. 0.192
2. 0.196
3. 0.200
4. 0.204
5. 0.208
吸光度の計算問題は苦手な人も多いかもしれませんが、これは典型パターンの問題なので、できればやり方を覚えておきましょう!
2ポイント法とは
第1試薬をいれた後に測定した吸光度、第2試薬をいれた後に測定した吸光度を測定して、第2試薬後の吸光度から第1試薬後の吸光度を引き算した吸光度を元に濃度を算出すること。
これのメリットは、試料の溶血・色・濁りなどによる影響を回避できることです!
そこを踏まえて問題を見ていきましょう
第1試薬反応後の吸光度は0.005
第2試薬反応後の吸光度は0.200
です。
検体盲検補正後の吸光度はどれか、と書いてあります。
検体盲検補正というのは、第2試薬吸光度から第1試薬吸光度を引き算することです
ということで、この問題は0.200-0.005=0.195 としたいのですが、これは間違いになります。
ここで行うのが、液量補正です。
問題文に検体量や試薬量が載っています、
検体量は10μL、第1試薬量は230μL 第1試薬添加後の液量は240μL
ここに第2試薬を加えると、240+60=300μLとなり、最終的に液量が増えています
つまり、第1試薬後の吸光度は液量が増えると薄まるため、補正が必要になります。
0.005×240/300 =0.004
これを0.200から引き算して、答えは2の0.196となります。
ただ、この問題の選択肢は仮に0.200-0.005=0.195としても最も近い0.196を選べば正解とはなりますが…
2ポイントの検体盲検補正は第1試薬吸光度から第2試薬吸光度を引き算する、をしっかり覚えておきましょう!
MT72-AM30 ビリルビンで誤っているのはどれか。
1. 遊離型ビリルビンは水に不溶性である。
2. 非抱合型ビリルビンは細胞毒性を有する。
3. ビリルビンは抗酸化物質として機能する。
4. 間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤を必要とする。
5. 抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる。
ビリルビンといえば、直接(抱合型)と間接(非抱合型)ですが、それ以外にもビリルビンには種類があるためそこを覚えましょう。また、ビリルビンの基本的な知識についても整理しましょう
前提知識
非抱合型ビリルビン:ヘムが代謝されビリベルジンとなり、ビリベルジンが還元されてできたビリルビンのこと。疎水性で水に溶けないため大部分がアルブミンと結合し運ばれる。
抱合型ビリルビン:グルクロン酸抱合を受けたビリルビンであり水溶性
選択肢を見ながら解説していきます
1. 遊離型ビリルビンは水に不溶性である。 ◯ 正しい
遊離型ビリルビンは、非抱合型ビリルビンと同義と捉えてOKです。
また、遊離型のうち、アルブミンと結合していないものが僅かに存在し、これをアンバウンドビリルビンと呼びます
2. 非抱合型ビリルビンは細胞毒性を有する。 ◯ 正しい
非抱合型ビリルビンは毒性があり、通常ではアルブミンと結合することでその毒性は抑えられています。
一方でわずかに存在するアンバウンドビリルビンは非常に毒性が強く、新生児などではアルブミンで結合しきれないビリルビンが増えることになり、核黄疸(ビリルビン脳症)を引き起こす可能性があります。
3. ビリルビンは抗酸化物質として機能する。 ◯ 正しい
ビリルビンは抗酸化物質(還元物質)です。一方で自身は酸化されやすく、ビリルビンが酸化されると緑色のビリベルジンになってしまいます。
4. 間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤を必要とする。 ◯ 正しい
間接ビリルビンは疎水性の非抱合型ビリルビンです。メタノール等の反応促進剤を加えることで、試薬と反応するようになります。
5. 抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャント δ-ビリルビンとなる。✕ 誤り
また新たなビリルビンの名前が出てきました。
通常のビリルビンは古い赤血球由来のヘモグロビンに由来します。
シャントビリルビンというのは、ミオグロビンや、骨髄の無効造血から由来するビリルビンのことです。
一方で、閉塞性黄疸などで抱合型ビリルビンが体内に長期滞在すると、アルブミンと共有結合しδ-ビリルビンになります。δ-ビリルビンは健常人ではほとんどありません。
MT72-AM31 日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で試薬に脱水素酵素が含まれるのはどれか。
1. ALP
2. AMY
3. CK
4. LD
5. γ-GT
これは「試薬」に脱水素酵素が含まれるというところがポイントで、
この中で脱水素酵素といえば、LDなのですが、LDの測定試薬に入っているのは基質(乳酸)と補酵素(NAD+)だけです
正解は3.CKは2つの酵素反応を組み合わせて最終的にNADHの増加を測定する方法であり、共役酵素として、HK(ヘキソキナーゼ)、G6PD(グルコース6リン酸脱水素酵素)を含んでおり、G6PDが正解の脱水素酵素となります。
MT72-AM32 血清総蛋白の検査で誤っているのはどれか。
1. 脱水状態で上昇する。
2. 蛋白質は280nmに極大吸収を持つ。
3. 座位の基準範囲は6.6~8.1g/dLである。
4. 血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。
5. ビウレット反応はトリペプチドで起こる。
総蛋白(TP)についての基礎知識の問題です
1. 脱水状態で上昇する。◯ 正しい
脱水状態では基本的に成分が濃縮されるため、多くの項目では高値になります。
2. 蛋白質は280nmに極大吸収を持つ。◯ 正しい
タンパク質を構成するアミノ酸のうち、特に芳香族アミノ酸であるチロシンやトリプトファンの極大吸収波長が280nmとなっています。この280nmでタンパク質溶液を測定することで簡易的に濃度測定ができます、これを紫外部吸収法といいます。
また、核酸の極大吸収波長に260nmがあり、DNAの抽出などで核酸の純度を調べたい時にはA260/A280が高いほど純度が高い、ということになります。
3. 座位の基準範囲は6.6~8.1g/dLである。◯ 正しい
基準範囲はおおよそのレベルでも良いので覚えておきましょう。ちなみに臥位の採血では約5~20%ほど低値になることが知られています。臥位の採血で低値になる代表的な項目はTP, ALB, Caなどがあるので覚えておきましょう。
4. 血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。✕
これはタンパク質の問題というよりは、吸光度測定の原理の話になりますが、光が物質を通過する時は液体の密度(溶けている物質の濃度)が高いほど光の屈折は大きくなります。つまり、比例関係が正しいです。
5. ビウレット反応はトリペプチドで起こる。◯ 正しい
ビウレット反応はTP測定の原理で用いられる反応ですが、3つ以上のアミノ酸でこの反応が起きます。ジペプチド(アミノ酸2つが結合したもの)やアミノ酸単体では反応は起きません。
MT72-AM33 レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。2つ選べ。
1. アポAⅠ
2. アポB48
3. アポCⅠ
4. アポCⅡ
5. アポE
LCATは、遊離型コレステロールをエステル型コレステロールに変換する酵素 です
他にリポ蛋白中の中性脂肪を分解するLPLという酵素もあります
これらの酵素の活性や抑制にアポタンパクが関与していて、それぞれの役割を覚えることは必須です!
この機会にぜひ覚えましょう
アポ蛋白の国試ポイント
- アポAⅠ:LCAT活性化、HDLに豊富
- アポAⅡ:LCAT抑制
- アポB48:カイロミクロン
- アポB100:LDL受容体への結合
- アポCⅠ:LCAT活性化
- アポCⅡ:LPL活性化
- アポCⅢ:LPL抑制
- アポE:レムナント受容体・LDL受容体への結合
リポタンパク質や各アポ蛋白の役割を確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください!

MT72-AM34 酵素法でクレアチニンを測定する際に用いられるのはどれか。2つ選べ。
1. ウリカーゼ
2. 乳酸脱水素酵素
3. クレアチニナーゼ
4. リンゴ酸脱水素酵素
5. ザルコシンオキシダーゼ
クレアチニンの酵素法には酵素が4つ登場します
・クレアチニナーゼ
・クレアチナーゼ
・サルコシンオキシダーゼ
・ペルオキシダーゼ
の4つです。ということで正解は3,5
基質の名前もほぼそのままで、クレアチニン→クレアチン→サルコシン と生成されていき、サルコシンオキシダーゼによって発生した過酸化水素がペルオキシダーゼと反応し、呈色した色を吸光度測定という流れです
まずは4つの酵素を覚えるようにしましょう!

MT72-AM35 レチノール結合蛋白〈RBP〉と結合するビタミンはどれか。
1. A
2. C
3. D
4. E
5. K
レチノールはビタミンAの別名です。主要なビタミンについては化学名をしっかり覚えるようにしましょう
A:レチノール
C:アスコルビン酸
D:コレカルシフェロール
E:トコフェロール
K:メナキノンなど
RBP:レチノール結合蛋白は、栄養タンパクでもありますので覚えておきましょう。
↓栄養タンパクについての確認記事はこちらから!

MT72-AM36 敗血症マーカーはどれか。
1. KL-6
2. シスタチンC
3. トロポニンT
4. カルプロテクチン
5. プロカルシトニン
敗血症マーカーは超定番なので絶対に覚えておきましょう!
プロカルシトニン
プレセプシン
の2つです!


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