【第68回臨床検査技師国家試験】AM37-44の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

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MT68-AM37.尿素回路について正しいのはどれか。

  1. 腎臓に存在する。
  2. ATPを産生する。
  3. アンモニアを無毒化する。
  4. ピルビン酸を必要とする。
  5. 律速酵素はアルギナーゼである。

尿素回路は別名をオルニチン回路ともいいます

肝臓アンモニア1分子を無毒な尿素1分子に変換する回路で、1回転につき3ATP を消費します

決してエネルギー(ATP)を産生する回路ではないので注意しましょう

尿素回路の物質名のゴロがあります!

安価なおかし、明日あるあるにょ

安価:アンモニア→カルバモイルリン酸

おか:オルニチン+カルバモイルリン酸

し明日:シトルリン+アスパラギン酸

ある:アルギニノコハク酸

ある:アルギニン

にょ:尿素

律速酵素は一番最初のステップを触媒する、カルバモイルリン酸合成酵素(カルバモイルリン酸シンセターゼ)です

MT68-AM38.生化学自動分析装置の検出部に後分光方式を用いることで可能となるのはどれか。

  1. 二波長法での測定
  2. 終点分析法での測定
  3. 速度分析法での測定
  4. 紫外部吸収法での測定
  5. 2 ポイント法での測定

試料の前に分光器がある方式を前分光,試料の後に分光器がある方式を後分光といいます

後分光方式のメリットは1.二波長の測定です

後分光方式の原理
試料の前に分光器があると、1つの波長に分けてから測ることしかできませんが、試料を通った後の光を分光することで、2つの波長を同時に測定できるというわけです

二波長とは、主波長と副波長の2種の吸光波長で測定した値を採用する方法です

二波長で測定するメリットは大きく以下の2点です

  • 吸収波長の重なり部分の回避
  • 濁り(濁度)の影響を回避

検査機器の細かい仕組みの話ですので、割り切って覚えてしまうのが無難です

チェックポイント

後分光方式のメリット二波長の測定

二波長法のメリットは

吸収波長の重なり部分の回避

濁り(濁度)の影響を回避

MT68-AM39.血清ナトリウムイオンの測定に使用される電極はどれか。2つ選べ。

  1. 酸素電極
  2. ガラス電極
  3. バリノマイシン電極
  4. クラウンエーテル電極
  5. 第 4 級アンモニウム塩電極

電解質の電極法で用いる電極は暗記するしかありません

特異性が高いのは、Na,K いずれもクラウンエーテル電極になります

Na:ガラス電極・クラウンエーテル電極

K:バリノマイシン電極・クラウンエーテル電極

Cl:第 4 級アンモニウム塩電極

MT68-AM40.血清中の総コレステロール値が 225mg/dL、HDL-コレステロール値が 45mg/dL、トリグリセライド値が 250 mg/dL であった。Friedewald 式による LDL-コレステロール値はどれか。

  1. 55mg/dL
  2. 97mg/dL
  3. 130mg/dL
  4. 155mg/dL
  5. 180mg/dL

これはFriedewaldの式を知らなければ、どうしようもない問題です

Friedewaldの式とは、計算でLDL-Choを求める方法で

LDL=(T-Cho)-(HDL)-(TG/5)

総コレステロールからHDLとTGの5分の1を引くことで求められます

ただし、Friedewaldの式を用いる事のできる条件は

  • 空腹時の採血
  • TG 400mg/dL未満

となります。他に、脂質異常症などがあった場合は採用できません

 

問題の条件を代入すればOKです

225-45-(250/5)

130 mg/dL

MT68-AM41.DNAを含む細胞内小器官はどれか。

  1. 小胞体
  2. ゴルジ体
  3. リボソーム
  4. ミトコンドリア
  5. ペルオキシソーム

DNAを含む、といえば核とミトコンドリアです

核酸を含む、といった場合、DNAとRNAの両方の意味を含んでいます

RNAを含むのは、リボソームになります

(粗面小胞体はリボソームを含んでいるので、粗面小胞体もRNAを含む、と言える場合もあります)

MT68-AM42.肝合成能の評価に用いられるのはどれか。

  1. ICG試験
  2. 血清ALT値
  3. 血清ビリルビン値
  4. 血中アンモニア値
  5. プロトロンビン時間

肝臓の機能検査は様々ありますが、主な機能評価は以下の3つになります

  • 蛋白合成能
  • 解毒能(代謝)
  • 障害の指標

選択肢を分類すると以下のようになります

ICG試験ー解毒
血清ALT値ー障害指標
血清ビリルビン値ー代謝
血中アンモニア値ー解毒
プロトロンビン時間ー合成

プロトロンビンは血液凝固第Ⅱ因子であり、タンパク質ですので肝臓の合成能を反映しているといえます

他、アルブミンを始めとし大部分のタンパク質を合成しているのが肝臓です、この際に働いているコリンエステラーゼ(ChE)もタンパク質合成能を反映しているので覚えておきましょう

コリンエステラーゼは肝障害で低下する酵素です

MT68-AM43.消化管から分泌されないのはどれか。

  1. ガストリン
  2. セクレチン
  3. インクレチン
  4. カルシトニン
  5. コレシストキニン

若干マイナー気味なホルモンが多いので、整理していきましょう

ガストリンで分泌され、胃酸分泌を促進します

セクレチン十二指腸から分泌され、膵液分泌を促進し、胃酸分泌を抑制します

インクレチンは十二指腸~小腸で分泌され、インスリンの分泌を促進するホルモンです

インスリンくれで覚えましょう!)

カルシトニンは甲状腺C細胞から分泌され、血中Ca低下に働くホルモンです。消化器ではないので正解はこちらです。

コレシストキニン十二指腸で分泌され、膵液と胆汁分泌を促進するホルモンです

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MT68-AM44.Michaelis 定数〈Km〉について正しいのはどれか。

  1. 測定 pH の変化に影響されない。
  2. アイソザイム間では差異がない。
  3. 大きいほど酵素と基質の親和性が高い。
  4. 競合物質の存在下では大きくなる。
  5. 最大反応速度〈Vmax〉の半分の速度である。

まずミカエリス定数の定義についてですが

ある酵素について、最大反応速度(Vmax)の1/2となる時の基質濃度となります

Kmの存在意義は、ある酵素の基質親和性を表す尺度になります

これらを踏まえて選択肢をしっかり解釈していきましょう

 

測定 pH の変化に影響されない。

→酵素は至適pHがあるのでpHによって親和性は変わるためKmも変化します

アイソザイム間では差異がない。

→アイソザイムによって親和性が異なるためKmも変化します

大きいほど酵素と基質の親和性が高い。

→Kmは最大速度の半分の活性となる基質濃度、つまり、Kmが低いほど、低い濃度の基質でも十分な速度が出るといえます。すなわち、Kmが低いほど親和性が高くなる、といえます。

競合物質の存在下では大きくなる。

→競合物質が存在すると、親和性は低くなります。すなわち、Kmは大きくなるのでこの文章は正しいです。

最大反応速度〈Vmax〉の半分の速度である。✕

→KmはVmaxの半分の速度ではなく、Vmaxの半分の速度となる基質濃度です

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