医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和8年2月18日(水)に実施された
第72回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-07.html)
で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
- MT72-AM37 アニオンギャップが上昇するのはどれか。
- MT72-AM38 グルコース測定におけるヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ法で正しいのはどれか。
- MT72-AM39 ペプチドホルモンはどれか。
- MT72-AM40 クレアチニンで正しいのはどれか。
- MT72-AM41 アミラーゼで誤っているのはどれか。
- MT72-AM42 インドシアニングリーン〈ICG〉試験で正しいのはどれか。
- MT72-AM43 放射線感受性が最も高いのはどれか。
- MT72-AM44 空腹時血清中総コレステロール250mg/dL、トリグリセライド150mg/dL、HDL-コレステロール50mg/dLのとき、Friedewaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値 [mg/dL]はどれか。
MT72-AM37 アニオンギャップが上昇するのはどれか。
1. 嘔 吐
2. 下 痢
3. 乳酸アシドーシス
4. 尿細管性アシドーシス
5. 副甲状腺機能亢進症
まずアニオンギャップってなんだっけ?という人はこちらの記事を見ておきましょう!

簡単に判別するポイントをまとめると、
・アニオンギャップ(AG)は「代謝性アシドーシスを鑑別する」
というのが主目的です!
そしてAGの判定については増大 or 変化しない で判別し、
まずはAGが変化しない疾患を覚えるのが鉄板です
AGが変化しない代謝性アシドーシスは
・尿細管性アシドーシス
・下痢
の2つです!
このことから、選択肢2,4はAG変化無しなので候補から外れ、3の乳酸アシドーシスがAG増加する疾患となります!
ちなみに嘔吐は代謝性アルカローシスとなります。
MT72-AM38 グルコース測定におけるヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ法で正しいのはどれか。
1. 酵素電極法で使用される。
2. NAD+の吸光度を測定する。
3. アスコルビン酸の影響を受ける。
4. 試薬にはムタロターゼが必要である。
5. 日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。
グルコースのHK・G6PD法について詳しく知る必要があります
1. 酵素電極法で使用される。✕
→酵素電極法は自己血糖測定機器(SMBG)などに用いられ、酵素はGOD(グルコースオキシダーゼ)を使います
2. NAD+の吸光度を測定する。✕
→HK・G6PD法はNAD(P)H=340nmの増加を測定します!
3. アスコルビン酸の影響を受ける。✕
→340nmの測定はアスコルビン酸の影響を受けにくいです。
一方でGODは酸化反応を阻害され偽低値になる可能性があります。
4. 試薬にはムタロターゼが必要である。✕
→ムタロターゼが必要なのはGOD法です。
ムタロターゼは、α-グルコース↔β-グルコースを触媒する酵素です
その理由はGODはβ-グルコースにのみ作用するためです
5. 日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。◯
臨床検査の項目にはJSCC勧告法が設定されている項目が多く、グルコースの場合はHK・G6PD法になります。GOD法は日常的な臨床検査では用いられず、主にSMBGに用いられます。学校の用手法の実習などで使うこともあります。
MT72-AM39 ペプチドホルモンはどれか。
1. アドレナリン
2. コルチゾール
3. テストステロン
4. トリヨードサイロニン
5. ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
ホルモンは、アミンとステロイドを先に覚えるべし!!
アミンは甲状腺ホルモン(T3,T4)と副腎髄質ホルモン(アドレナリン)
ステロイドホルモンは名前に◯◯オール、◯◯ステロン、◯◯ゲン が入っています!
それ以外はペプチドです!
ということで、
1. アドレナリン →アミン
2. コルチゾール →オールなので、ステロイド
3. テストステロン →ステロンなので、ステロイド
4. トリヨードサイロニン →T3のこと、アミン
5. ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉→ペプチド
ということで答えは5です
【3分で覚える】ホルモンの分類【アミン・ペプチド・ステロイド】

MT72-AM40 クレアチニンで正しいのはどれか。
1. 肝臓で合成される。
2. 尿細管で再吸収される。
3. 血漿濃度は脱水症で低値を示す。
4. 血漿濃度の基準範囲には男女差がある。
5. 血漿濃度はDuchenne型筋ジストロフィで高値を示す。
クレアチニンの基礎知識問題です
1. 肝臓で合成される。✕
→クレアチニンは筋肉の高エネルギー物質であるクレアチンリン酸の代謝物ですので、基本的には筋肉で産生されます。クレアチンリン酸の原料である「クレアチン」は肝臓で合成されます。
2. 尿細管で再吸収される。✕
→クレアチニンは基本的に不要物のため再吸収されずに排泄されます。そのため、腎機能が悪くなると血中に増加し、腎機能の指標とされます。
3. 血漿濃度は脱水症で低値を示す。✕
→脱水では基本的に体内の成分が濃縮されるため値は高くなります
4. 血漿濃度の基準範囲には男女差がある。◯
→クレアチニンは筋肉量の影響を受けるため、男性の基準範囲が高いという特徴があります
5. 血漿濃度はDuchenne型筋ジストロフィで高値を示す。✕
→筋ジストロフィでは筋肉が萎縮(筋量低下)してしまうため、低値となります
MT72-AM41 アミラーゼで誤っているのはどれか。
1. Cl⁻ で活性化される。
2. 加水分解酵素である。
3. α-1,6-グリコシド結合を切断する。
4. 唾液腺型は膵型より高分子量である。
5. 腎不全では血清アミラーゼ値が上昇する。
1. Cl⁻ で活性化される。◯
→活性化にはCl–が必要で、活性中心にCa2+を含みます
ちなみにALP(アルカリホスファターゼ)の活性化にはMg2+が必要で、活性中心はZa2+です
2. 加水分解酵素である。◯
→ちなみにアミラーゼは消化酵素でもあります。消化酵素は全て加水分解酵素です
3. α-1,6-グリコシド結合を切断する。✕
→グリコシド結合とは糖同士の結合のことで、デンプンにはα-1,4結合のみをもつアミロースと、α-1,4結合とα-1,6結合を持つアミロペクチンが存在しています。
人間の持つアミラーゼが切断できるのは、α-1,4結合のみです。糖の結合を全て覚えるのはなかなか難しいのですが、アミロースとアミロペクチンの違いについては知っておくと良いでしょう。
4. 唾液腺型は膵型より高分子量である。◯
唾液腺型:S型 は 膵型:P型よりも高分子です。
これはS型に糖鎖がついていることに由来します。
そして、P型のほうが低分子であるため尿に流出しやすく、膵炎などでは尿中のP型アミラーゼを測る検査があります。(S型が尿に出ないというわけではありません)
5. 腎不全では血清アミラーゼ値が上昇する。◯
→上記の知識から、P型もS型も尿中に排泄されていきます。
そのため腎不全ではろ過機能が低下し、血中にアミラーゼが残存し、アミラーゼ高値を呈することがあります
↓アミラーゼについてもっと詳しく学びたい方はこちらの記事がおすすめ!

MT72-AM42 インドシアニングリーン〈ICG〉試験で正しいのはどれか。
1. 早朝空腹時に行う。
2. ICGを経口投与する。
3. ICGは光に安定である。
4. 肝合成能の評価に用いられる。
5. ICG投与から1時間後に採血を行う。
ICG試験は肝臓の解毒・排泄機能を検査するもので、ICGという緑色の色素を注射し肝臓からの排泄能を確かめます
1. 早朝空腹時に行う。◯
ICGは主に胆汁内に排泄されるため、食事の影響が最も少ない早朝空腹時が適しています。
2. ICGを経口投与する。✕
経口投与ではなく、静脈に注射します
3. ICGは光に安定である。✕
不安定であるため遮光保存などの必要があります
4. 肝合成能の評価に用いられる。✕
合成能ではなく、解毒・排泄機能です
5. ICG投与から1時間後に採血を行う。✕
ICG試験の基準値は「15分停滞率 10%以下」です。すなわち採血を行うのは15分後です。
MT72-AM43 放射線感受性が最も高いのはどれか。
1. 肝細胞
2. 脂肪細胞
3. 心筋細胞
4. 神経細胞
5. 造血器細胞
基本的に放射線の影響を受けやすいのは
・造血器細胞(骨髄、血液細胞では特にリンパ球)
・生殖細胞(精巣・卵巣)
です。
ただし、赤血球は核がないため、放射線感受性は低い、ということも覚えておきましょう
白血病の治療に放射線を用いるのは、赤血球には影響がなく、がん化した血球を殺すためです(正常な白血球も当然やられてしまいます)
MT72-AM44 空腹時血清中総コレステロール250mg/dL、トリグリセライド150mg/dL、HDL-コレステロール50mg/dLのとき、Friedewaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値 [mg/dL]はどれか。
1. 50
2. 100
3. 170
4. 200
5. 230
Friedwaldの式を用いた計算問題は超サービス問題なので絶対に覚えましょう!!
LDL=総ChoーHDLーTG/5
LDL=250-50-150/5 =170 答えは3です
TG(中性脂肪)を5で割るのをお忘れなく!
TG400mg/dL以上ではこの式は使えませんが、国試レベルでは気にする必要はあまりないでしょう


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