医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和6年2月14日(水)に実施された
第70回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT70-AM 1 Over the counter 〈OTC〉 検査で実施されるのはどれか。 2つ選べ。
1. 血糖
2. 尿蛋白
3. 中性脂肪
4. HIV抗体
5. 尿中hCG
OTC検査とは、簡単に言うと、薬局で購入できる検査薬のことです。
2024年時点ではOTC検査薬は以下のものがありますので、覚えてしまいましょう!
国試に出やすいOTC検査薬
・尿糖、尿蛋白
・妊娠・排卵日予測(尿中hCG)
・新型コロナ(+インフルエンザ)抗原検査
ということで正解は、2,5となります。
MT70-AM 2 検査項目と採血管の添加物の組合せで正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. PT―EDTA-2Na
2. ALP―EDTA-2K
3.血糖―フッ化ナトリウム
4. 赤沈―クエン酸溶液
5. 血小板数―ヘパリンリチウム
選択肢を正しく訂正していきます
1. PT―クエン酸Na(クエン酸Na:血液=1:9の割合で添加)
2. ALP―基本はプレーン管(ALPは金属酵素のため、EDTAは使用不可)
3.血糖―フッ化ナトリウム ◯ →血糖といえばNaF管ですね。
4. 赤沈―クエン酸溶液 ◯ 赤沈の場合は、血液:クエン酸=1:4 比率になります
5. 血小板数―基本、EDTA ※ヘパリンは血小板凝集を惹起する可能性があるので不可です。
MT70-AM 11 Addison 病で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
1.血中 ACTH
2. 血清カリウム
3. 血清ナトリウム
4. 血中コルチゾール
5. 尿中 17-KS 〈17-ケトステロイド〉
アジソン病は副腎皮質機能低下症ともいいます、すなわち、副腎皮質ホルモンが低下する病態と解釈できます。
副腎皮質ホルモンを分泌するためには、脳下垂体前葉からのACTHの分泌が必要です。(個々の機序について知りたい方はこちらの記事をご覧ください!→記事【内分泌】必修:副腎皮質ホルモンのフィードバック!【レニン -アンジオテンシン – アルドステロン系】)
アジソン病は下垂体は正常で、副腎皮質の機能が低下する病態ですから、副腎皮質ホルモンの低下によってACTHをたくさん分泌します。しかし、副腎皮質の機能が低下しているため、副腎皮質ホルモンは低値のまま。というのがアジソン病の病気の流れになります。
このことから、選択肢を判断していくと
1.血中 ACTH→アジソン病ではACTHが増加するので正解
2. 血清カリウム→正解
3. 血清ナトリウム
→KとNaの動きは、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールやアルドステロンの働きです。
コルチゾールやアルドステロンにはNa再吸収・K排泄の促進作用があります、アジソン病ではこの機能が低下しますから、低Na、高Kとなります。逆に、クッシング症候群や原発性アルドステロン症では高Na、低Kです。
4. 血中コルチゾール→今まで書いたようにアジソン病ではコルチゾールやアルドステロンが低下します
以上の知識で、1,2の正解にたどり着くことができます。
5. 尿中 17-KS 〈17-ケトステロイド〉
5は少し発展知識が必要で、17-KSとは、ステロイドホルモンの代謝物です。
ステロイドホルモンはオール・ステロ・ゲンの名がついていて、副腎皮質ホルモンと性ホルモンが大半です。
つまり、17-KSは副腎皮質ホルモンや性ホルモンが増えると、代謝物として増加します。
アジソン病では副腎皮質ホルモンは低下しますから、17-KSも低下します。
似たようなものに、17-OHCSがあります。これはステロイドホルモンの中でも、特に、副腎皮質ホルモンの代謝物です。17-OHCSもアジソン病では低下します。
コルチゾールが過剰となるクッシング症候群では、17-KSと17-OHCSは増加します。
このように、少し詳しい知識を要求される場合もありますが、今回の答えは定番知識を知っていれば解ける、という問題でした。
MT70-AM 12 悪性中皮腫の胸水で高値を示すのはどれか。
1. ADA
2. CEA
3. SP-D
4. アミラーゼ
5. ヒアルロン酸
マーカーの問題です、選択肢にあるものは国試の定番が多いのでぜひ覚えておきましょう!
1. ADA(アデノシンデアミナーゼ)―結核性胸膜炎
2. CEA―消化器癌(大腸・直腸・胃)・肺癌・乳癌・膵臓癌などで陽性となる腫瘍マーカーですが、臓器特異性が低いです。
3. SP-D―間質性肺炎のマーカーです。他にはKL-6というのがあります。
4. アミラーゼ―基本的には膵炎・膵臓がんなどのマーカーになります。
5. ヒアルロン酸 これが正解です。悪性中皮腫のマーカー。
MT70-AM 13 リンパ腫の原因となるのはどれか。
1. サイトメガロウイルス
2 単純ヘルペスウイルス
3. ヒトT細胞白血病ウイルス1型
4. ヒトパピローマウイルス
5. ヒトパルボウイルス B19
それぞれのウイルスが引き起こす疾患は重要なので覚えておきましょう
1. サイトメガロウイルスはヘルペスウイルスの一種で、病理学的な特徴として感染細胞はフクロウの目のような形になる特徴があります
2 単純ヘルペスウイルスはいわゆる口唇ヘルペスなどを引き起こします
3. ヒトT細胞白血病ウイルス1型はHTLV-1:成人T細胞リンパ腫ウイルス 1 型とも呼ばれ、成人T細胞性白血病を引き起こします。これが正解です。
4. ヒトパピローマウイルスは子宮頸がんの原因と言われるウイルスです。
5. ヒトパルボウイルス B19ー伝染性紅斑を引き起こすウイルスです。
MT70-AM 14 欠乏により巨赤芽球性貧血をきたすのはどれか。
1. ビタミンA
2. ビタミンB12
3. ビタミンC
4. ビタミンD
5. ビタミンE
ビタミンと欠乏症は国試の超定番の覚え得問題です!
正解は2のビタミンB12(シアノコバラミン)です
ビタミン関連の記事はこちら!
MT70-AM 15 血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。
1. 一酸化炭素中毒
2. 水銀中毒
3. 青酸 〈シアン〉 中毒
4. 鉛中毒
5. 有機リン中毒
コリンエステラーゼは肝臓の合成能の指標であり、通常であれば肝機能の低下に伴ってChE活性も低下します。
この問題は中毒による低下ですが、ChEの低下は有機リン中毒によって引き起こされます。
またChEの遺伝子変異による活性低下もあり、それらを調べる検査として、ジブカインおよびNaF(フッ化Na)の阻害率を調べるというものがあります。
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