【第68回臨床検査技師国家試験】PM1, 2, 4, 10の問題をわかりやすく解説

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国試かけこみ寺です!

令和4年2月16日(水)に実施された

第68回臨床検査技師国家試験問題について

一部の分野をわかりやすく解説しています!

問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています

※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp220421-07.html)で公開している問題を引用しています。

問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。

 

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MT68-PM1 内部精度管理法で管理血清を用いるのはどれか。2つ選べ。

精度管理は苦手な人が多いと思うのですが、国試レベルではパターンを覚えて暗記してしまうのが手っ取り早いと考えています

精度管理では、管理血清と患者血清を用いる方法がありますが、管理血清を先に覚えてしまいましょう

管理血清を用いる方法

・x̄-R 管理図法

・x̄-Rs-R 管理図法

・マルチルール管理図法

・累積和管理図法

国試レベルでは以上の4つを覚えましょう。答えは2,5になります。

ちなみに、R/x̄は x̄-R 管理図法とは非なるものです。国試レベルでは覚えなくてもよいと思われます

患者血清を用いる方法

基準値(正常者)平均法(ホフマン法)

ナンバー・プラス法

極端値チェック法

相関性チェック法(項目間チェック法)

前回値チェック法(デルタチェック法)

患者血清を用いる精度管理法は呼び名の別名などが多く、覚えづらいです

実は精度管理は、働いてから非常に重要な知識ですが、現場で経験を積みながら吸収すべきと考えていますので、このような簡単な解説にとどめたいと思います

MT68-PM2 標準予防策において感染性を考慮しない体液・分泌物はどれか。

1.汗
2.尿
3.髄 液
4.精 液
5.唾 液

標準予防策において「感染性を考慮しない」ということで、答えは1.汗です

多くの病院における、標準予防策(スタンダード・プリコーション)には、感染性の分泌物(汗を除く)との表記があります(ただし、汗に全く細菌がいないという意味ではありません、皮膚の常在菌はいると考えられます)

逆に、他の選択肢ではどんな感染性が考えられるかを簡単にチェックしてみましょう

2.尿ー尿路感染症や膀胱炎など、細菌がいることが想定されます

3.髄 液ー髄膜炎菌や髄膜炎ウイルスが想定されます

4.精 液ーHIVや梅毒など、STDの感染源が想定されます

5.唾 液ーインフルエンザやコロナウイルス、風邪の原因菌などが想定されます

 

一方で、汗に関しては教科書などでも、「汗から感染する」という表記は見ないと思います

珍しいタイプの問題かとは思いますが、冷静な思考から答えにたどり着くことは可能です

MT68-PM4 便潜血の免疫学的検査法で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.便中の鉄を検出する。
2.食事制限が必要である。
3.化学的検査法より検出感度は低い。
4.便の表面をこするように採取する。
5.上部より下部の消化管出血の検査に適している。

まずこの問題で理解すべきは、便潜血の免疫学的検査法についてです

これは便中のヘモグロビン(Hb)を抗ヒトHb抗体で検出することを意味します(多くの場合原理はイムノクロマト法です)

これを知っていれば、

1.便中の鉄を検出する。✕→鉄ではなくHbの検出
2.食事制限が必要である。✕→食事にヒトのHbは含まれないので気にしなくて良い
3.化学的検査法より検出感度は低い。✕→免疫法の方が基本的に感度は高い

4,5が正解となります

5.上部消化管(胃など)の出血では、腸管でHbが変性などする可能性が高いため、検出されない可能性が高いと考えられます

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MT68-PM10 PCR 法において核酸増幅産物の特異性を高める方法として正しいのはどれか。

1.サイクル数を増やす。
2.プライマー濃度を下げる。
3.アニーリング温度を下げる。
4.マグネシウム濃度を上げる。
5.DNA ポリメラーゼ濃度を上げる。

特異性を高める=非特異反応を減らす と言い換える事ができます

これはPCRに関する一連の用語を理解する必要がありますので、整理していきましょう

1.サイクル数を増やす。✕→サイクル数を増やせば、余計なものも増えます、よって特異性は低くなる

2.プライマー濃度を下げる。○→プライマー濃度を下げると、余計な物を増やさなくなります、よって特異度は上がります(ただし感度が下がるので目的のバンドは得るのが難しい)

3.アニーリング温度を下げる。✕→アニーリングの温度は低いと非特異反応が増えます、よって特異性は低くなる

4.マグネシウム濃度を上げる。✕→Mg濃度を増やせば、余計なものも増えやすくなる、よって特異性は低くなる

5.DNA ポリメラーゼ濃度を上げる。✕→DNAポリメラーゼ濃度を増やせば、余計なものも増えやすくなる、よって特異性は低くなる

基本的には、試薬やサイクルの量を増やして遺伝子を増えやすくする(感度が高くなる)と、特異性は低下します。アニーリング温度に関しては、高い方が特異性が高くなります。

なお、この問題についてはMT65-PM9に類似問題がありますので、以下の記事をチェックしてみてください!

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