医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和6年2月14日(水)に実施された
第70回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp240424-07.html)で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT70-AM 37 ALP で誤っているのはどれか。
1. ALP1 は閉塞性黄疸で上昇する。
2 ALP2 は ABO 血液型の影響を受ける。
3.ALP3 は小児期に高値を示す。
4. ALP4 は妊娠後期に上昇する。
5.ALP5 は食事の影響を受ける。
ALPのアイソザイムは由来する臓器や特徴のバラエティに富んでおり、出題されやすいため各アイソザイムの特徴をしっかり覚える必要があります。
1. ALP1 は閉塞性黄疸で上昇する。
ALP1は肝型であり、特に胆道疾患で上昇します
2 ALP2 は ABO 血液型の影響を受ける。→✕ 血液型の影響を受けるのは小腸型であるALP5です。特にB・O型かつ分泌型の人が高値となる傾向がありますが、現在の測定法(IFCC法)では測定時に影響を抑える事ができるようになりました。
ALP2は肝型でありALP1とおおよそ同じ動きと考えてよいでしょう
3.ALP3 は小児期に高値を示す。
ALP3は骨型で、特に骨代謝が盛んな成長期の小児で活性が高くなります。成人でも骨代謝(特に骨吸収)が大きい疾患で上昇します。
4. ALP4 は妊娠後期に上昇する。
ALP4は胎盤型であり妊娠後期で上昇、耐熱性が高いという特徴もあります。
5.ALP5 は食事の影響を受ける。→小腸型ともいい、食後に高値になりやすいです
ということで答えは2になります。
ALPについての詳しい記事はこちらをご参考ください!→【臨床検査技師国試】意外と見落としがちな酵素!過去問解説【ALP・AMY】
MT70-AM 38 ペプチドホルモンはどれか。2つ選べ。
1. アドレナリン
2. アルドステロン
3. カルシトニン
4. サイロキシン
5. 副甲状腺ホルモン 〈PTH〉
ホルモンの分類は大きく ステロイド・アミン・ペプチドに分かれますが、覚えるべきはステロイドとアミンです。
ステロイドホルモンの覚え方は◯◯オール・◯◯ステロ・◯◯ゲン
アミンホルモンは副腎髄質ホルモンであるアドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンと、甲状腺ホルモンであるT3(トリヨードサイロニン),T4(サイロキシン)
残りはペプチドと考えてOKです(もっと細かい分類はありますが、とりあえずはこれを覚える)
1と4はアミン、2はステロイドですから、のこりの3,5が正解となります。
MT70-AM 39 260nmが極大吸収波長であるのはどれか。
1. DNA
2. 尿酸
3. ビリルビン
4. ヘモグロビン
5. 芳香族アミノ酸
これは覚えていないとどうしようもない問題です。
選択肢の中で覚えておきたいのは以下の波長です
DNA(核酸)-260 nm
芳香族アミノ酸-280 nm
ビリルビン-450 nm
DNAやRNAなどの核酸抽出を行う際には、純度としてOD260/280 が用いられます
核酸抽出の際には、タンパク質が少ないほうがよいので、
核酸の波長260nmと
タンパク質(の中の芳香族アミノ酸)の波長280nm
を測定して純度を調べます。
ビリルビンの450nmはビリルビンの酸化法(ビリルビンオキシダーゼ酵素法またはメタバナジン酸酸化法)に用いられる波長となります
MT70-AM 40 グルコースのみで構成される二糖類はどれか。
1. スクロース
2. マルトース
3. ラクトース
4. ガラクトース
5. フルクトース
糖類の構成の問題ですが、これは簡単なので覚えておきたいです。
国試によく出てくる二糖類はマルトース・ラクトース・スクロース
まるいラスク で覚えましょう
また、二糖類を構成する単糖類もしっかり覚えておきましょう!
マルトース=グルコース2分子
ラクトース=グルコース1+ガラクトース1分子
スクロース=グルコース1+フルクトース1分子
MT70-AM 41 解糖系の律速酵素はどれか。
1. エノラーゼ
2. アルドラーゼ
3. イソメラーゼ
4. ヘキソキナーゼ
5. ホスホグリセリン酸キナーゼ
解糖系の物質をすべて暗記するのは難しいですが、律速酵素は3つあるので丸暗記してしまいましょう
語呂合わせ
僻地(へきち)のホスピタル
解糖系の律速酵素
・ヘキソキナーゼ
・ホスホフルクトキナーゼ
・ピルビン酸キナーゼ
MT70-AM 42 構造蛋白質はどれか。
1. アルブミン
2. コラーゲン
3. フィブリノゲン
4. セルロプラスミン
5. α-リポプロテイン
構造タンパク質とは簡単に言うと、組織(臓器)を構成することが主目的のタンパク質といえるでしょう。この中では、皮膚や粘膜などを構成している、2.コラーゲンとなります。
他には、同じく皮膚の成分タンパク質であるケラチンもそうですね。
ほかのタンパク質はすべて血中に溶けて存在しているタンパク質のため、構造タンパク質とは言わないです。
MT70-AM 43 半減期3日の放射性同位元素の放射能が1/8 になるのはどれか。
1. 6日後
2. 9日後
3. 12日後
4. 24 日後
5. 48 日後
これは非常に簡単な問題です。半減期が経過すると放射能が半分になるので、
3日で1/2
6日で1/4
9日で1/8ということで正解は2になります。
MT70-AM 44 血中カルシウムで正しいのはどれか。
1. 約30%がイオン型で存在する。
2. 基準範囲は3.6~4.4mg/dL である。
3. 低アルブミン血症では偽高値を示す。
4. アルカローシスではイオン型が低下する。
5. 副甲状腺ホルモン 〈PTH〉の作用で低下する。
序盤でマグネシウムが出てきましたが、カルシウムも出てきました。問題としてはカルシウムのほうが出やすいので細かい知識も覚えていったほうが良いでしょう。
1. 約30 50%がイオン型で存在する。
2. 基準範囲は3.6~4.4 8.8~10mg/dL である。少し数値を丸めています、また、meq/Lの場合は、mg/dL表記の半分になります→4.4~5.0 meq/L
3. 低アルブミン血症では偽高低値を示す。カルシウムの約40%はアルブミンと結合しており、低アルブミンに伴って偽低値を示します。
4. アルカローシスではイオン型が低下する。→正しい
5. 副甲状腺ホルモン 〈PTH〉の作用で低下増加する。
副甲状腺ホルモン(パラトルモン)は骨吸収を促進し、血中Ca濃度を高める働きがあります
コメント