医療系国家試験の解説サイト
国試かけこみ寺です!
令和8年2月18日(水)に実施された
第72回臨床検査技師国家試験問題について
一部の分野をわかりやすく解説しています!
問題(+別冊)と解答は厚生労働省のHPで公開されています
※以下の問題の出典は全て、厚生労働省のホームページ
(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/topics/tp260424-07.html)
で公開している問題を引用しています。
問題に対する解説は国試かけこみ寺のオリジナルとなります。
MT72-PM37 ナトリウムを測定する電極はどれか。2つ選べ。
1. ガラス
2. クラウンエーテル
3. 酵 素
4. 第4級アンモニウム塩
5. バリノマイシン
電極による電解質測定は超定番問題です!
ここで全て覚えてしまいましょう
・ナトリウムーガラス電極、クラウンエーテル(12-クラウン-4)
・カリウムーバリノマイシン、クラウンエーテル(15-クラウン-5)
・クロールー第4級アンモニウム塩
ちなみにpH測定もガラス電極です
クラウンエーテルの種類は少し細かいですが、原子番号の若いNaがクラウンの番号も小さいと覚えておくとよいでしょう
MT72-PM38 アルブミンで正しいのはどれか。
1. 血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。
2. Rapid Turnover Protein〈RTP〉に分類される。
3. 尿中微量アルブミン濃度は色素結合法で測定する。
4. ブロムクレゾールパープル〈BCP〉法はα-グロブリンとの反応性が高い。
5. ブロムクレゾールグリーン〈BCG〉改良法が血清中濃度測定で使用されている。
1. 血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。 ◯正しい
→アルブミン・TP・Caは臥位で座位よりも低くなります。入院患者と外来患者の採血結果の比較では注意が必要です。
2. Rapid Turnover Protein〈RTP〉に分類される。✕
→RTPとは半減期の短い栄養タンパク質のことで、アルブミンの半減期は約20日で、該当しません。
RTPは3つあるので覚えましょう
・トランスフェリン:1週間程度
・トランスサイレチン:2日
・レチノール結合蛋白:0.5日
3. 尿中微量アルブミン濃度は色素結合法で測定する。✕
尿中の微量アルブミンは糖尿病腎症の早期発見に重要な検査です。
微量であるため、免疫比濁法など、免疫測定を利用しています。
4. ブロムクレゾールパープル〈BCP〉法はα-グロブリンとの反応性が高い。✕
BCPはBCGよりもアルブミンとの特異性が高い色素です。
BCG法はα, β分画の炎症性タンパクと反応性があり、偽高値となることがあります
現在のアルブミン測定はBCP法をさらに改善した、BCP改良法が用いられています。
5. ブロムクレゾールグリーン〈BCG〉改良法が血清中濃度測定で使用されている。✕
→現在はBCP(ブロムクレゾールパープル)改良法です
MT72-PM39 血漿カルシウム高値かつPTH低値となる疾患はどれか。
1. 慢性腎臓病
2. 悪性腫瘍の骨転移
3. ビタミンD欠乏症
4. 偽性副甲状腺機能低下症
5. 原発性副甲状腺機能亢進症
パラトルモンに関する問題であり、各選択肢の病態についてある程度知っておく必要があります。
パラトルモンは骨吸収を促進し、Ca濃度を高める作用があります
1. 慢性腎臓病 ✕
腎機能が低下すると基本的に低Caとなります。そのCaを補おうとしてPTHは増加するため
慢性腎臓病では低Ca、PTH増
2. 悪性腫瘍の骨転移 ◯
悪性腫瘍の骨転移では腫瘍によって骨が破壊されCaが増加します、そして骨吸収をこれ以上起こさないようにPTHは低下します
悪性腫瘍の骨転移では高Ca、PTH低 ということでこれが正解
3. ビタミンD欠乏症 ✕
ビタミンDにはCa吸収促進作用があり、欠乏するとCaが低下します、そのCa低下を補おうとPTHが分泌されるため
ビタミンD欠乏症では低Ca、PTH増
4. 偽性副甲状腺機能低下症 ✕
偽性副甲状腺機能低下症は、PTHは出ているが、標的細胞(骨や腎臓)のPTHに対する反応性が悪くCaが増加しないという状態です。疾患としては少し難しい病態なので、そういうのもあるんだというくらいの認識でOK。
偽性副甲状腺機能低下症は低Ca、PTH増 となります。
5. 原発性副甲状腺機能亢進症 ✕
原発性とはその部位に原因の発生がある、という意味で、単純に何かしらの原因で副甲状腺機能が亢進している状態と捉えてよいです。こうなるとPTHが分泌亢進し、Caが増加するため
原発性副甲状腺機能亢進症は高Ca、PTH増
MT72-PM40 脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉で正しいのはどれか。
1. 血管を収縮させる。
2. 心室で合成される。
3. 100個のアミノ酸で構成される。
4. ナトリウムの再吸収を促進する。
5. 採血後の血漿中濃度は室温で安定である。
BNPは心不全マーカーとして有名ですが、BNPそのものの知識問題は少し難しいです。
基本をおさらいしておくと、BNPは「ナトリウムの利尿を促し、血管を拡張して、血圧を下げる」役割を持つホルモンです。
1. 血管を収縮させる。 ✕
→血管の収縮は血圧上昇に繋がります、BNPは血管の拡張作用です
2. 心室で合成される。◯
→正しい。脳性という名前がついており非常にややこしいですが、これは最初に豚の脳から発見されたからであり、ヒトでは心室で合成・分泌されています。
3. 100個のアミノ酸で構成される。 ✕
→これは覚えなくてもよいと思うのですが、BNPはアミノ酸32個からなる小さいペプチドです。
4. ナトリウムの再吸収を促進する。 ✕
ナトリウムの再吸収を抑制し、排泄を促進して、血圧を下げます。
5. 採血後の血漿中濃度は室温で安定である。✕
基本的にホルモン系は室温で不安定なものが多く、BNPの測定はEDTA採血管を用いて、冷却して遠心分離をすべきとされています。
MT72-PM41 転移酵素はどれか。2つ選べ。
1. ALT
2. ChE
3. CK
4. LD
5. LIP
酵素の分類にはたくさんありますが、臨床検査で出てくる酵素の種類は限られますのでそこを覚えていきましょう
・酸化還元は◯◯デヒドロゲナーゼや◯◯オキシダーゼ
基本の検査項目ではLD(乳酸デヒドロゲナーゼ)が該当します
・転移酵素は◯◯アミノトランスフェラーゼと◯◯キナーゼ
基本の検査項目ではAST(アスパラギン酸トランスフェラーゼ), ALT(アラニントランスフェラーゼ),γ-GT(ガンマグルタミルトランスフェラーゼ),CK(クレアチンキナーゼ) が該当します
・臨床検査の基本項目では上記2種以外は加水分解酵素と思って大丈夫です!
加水分解酵素はALP(アルカリホスファターゼ), AMY(アミラーゼ), ChE(コリンエステラーゼ)、LIP(リパーゼ)
以上のことから、答えは1,3になります
MT72-PM42 便中カルプロテクチンで正しいのはどれか。
1. 抗腫瘍効果を有する。
2. 食事の影響を受ける。
3. 室温では不安定である。
4. 腸内細菌から分泌される。
5. 潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。
疾患マーカーの問題です
カルプロテクチンは好中球に含まれるタンパク質で炎症によって増加します
特に腸の炎症で増加し、便中に出現するため、炎症性腸疾患(IBD:潰瘍性大腸炎やクローン病など)の診断補助に用いられます
1. 抗腫瘍効果を有する。 ✕
→抗腫瘍効果があるわけではありません
2. 食事の影響を受ける。 ✕
→食事の影響を受けにくいため測定しやすいメリットがあります
3. 室温では不安定である。 ✕
→室温で安定しており、これも検体として測定しやすくメリットが高いです
4. 腸内細菌から分泌される。 ✕
→腸内細菌ではなく、好中球に含まれるタンパク質です
5. 潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。 ◯
→潰瘍性大腸炎やクローン病などのマーカーとして測定されます
MT72-PM43 ゲル濾過クロマトグラフィで溶出の順番が最も遅いリポ蛋白はどれか。
1. カイロミクロン
2. 高比重リポ蛋白〈HDL〉
3. 中間比重リポ蛋白〈IDL〉
4. 低比重リポ蛋白〈LDL〉
5. 超低比重リポ蛋白〈VLDL〉
難易度は高めの問題です
まずゲルろ過クロマトグラフィの仕組みについてから
ゲルろ過クロマトグラフィは「分子ふるい効果」によって、タンパク質を分離する装置です
分子ふるい効果とは、分子量の大きさによって分ける、と同義です
そしてゲルろ過クロマトグラフィでは、分子量の大きなものほど先に溶出される
まずはここを覚えてください
そして、次にリポタンパク質です
リポタンパク質の分類は比重(密度)が大きい順に
比重大 HDL>LDL>IDL>VLDL>CM 小となっています
しかし一方で分子の大きさ(粒子サイズ・分子量)の順で並べると
分子量大 CM>VLDL>IDL>LDL>HDL 小 となり、
クロマトグラフィではこの順番で溶出されます
つまり、最も溶出が遅いのは 2.HDLとなります。
MT72-PM44 ATP産生に関与しないのはどれか。
1. β酸化
2. 嫌気的解糖
3. 電子伝達系
4. クエン酸回路
5. 尿素サイクル
これは生化学の基本的な問題です
解説のあとのカッコ内はその機構が行われている場所を記載します
1. β酸化
→脂肪酸の代謝経路でATP産生に関わる(ミトコンドリア内)
2. 嫌気的解糖
→いわゆる解糖系のことでATP産生に関わる(細胞質基質)
3. 電子伝達系
→解糖系や電子伝達系などで生成されたNADHから大量にATPを生み出す仕組みで、酸化的リン酸化とも呼ばれます(ミトコンドリア内膜・クリステ)
4. クエン酸回路
→TCA回路ともいい、糖・脂質・タンパク質からのATP産生に関わる。(ミトコンドリア・マトリックス)
5. 尿素サイクル
→尿素回路、オルニチン回路ともいい、アンモニアを無毒な尿素に代謝するのが目的です。(ミトコンドリアと細胞質基質)
こちらはATPをむしろ消費する反応系になります。
ということで答えは5になります


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